「退職をメールで済ませたい」 「メールで辞める場合、どのように伝えたら良いの?」 「上司に強く引き止められたくない」 と考えていませんか?
肉体的・精神的に限界で、すぐにでも会社を辞めたいくらい追い込まれている場合、メールで済ませたいと考えることがあります。
退職をメール一本で済ませてしまうのはあまり良い方法とはいえませんが、直接伝えるのがどうしても難しい場合もあるでしょう。 この記事では、以下の内容について解説します。
- メールで退職する是非
- メールで退職するリスク
- メールで伝えても問題ないケース
記事の後半では、理由別にメールで退職を伝える例文も紹介します。 直接上司と話さずに辞めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
退職を突然のメールで済ますのは可能だがマナー違反
上司の声を聞くのも辛くて、メールで退職を伝えてすぐ辞めたいと考えている人もいますが、メール一本で会社を辞めるのはマナー違反です。
メールでは相手の話を聞くこともできず、一方的な主張になるため、あなたがどんなに悩んでいたとしても気持ちは伝わりません。
相手の都合も聞かずに自分の意見を押し付けている印象を与えるので、基本的には避けましょう。
メールで退職の希望を伝えても許されるケースはありますが、そうであってもいきなり「辞めます」と宣言するのではなく、相談するスタンスで伝えるようにします。
退職をメールで済ます4つのリスク
メール一本で退職をしてしまうと、以下のようなリスクがあります。
- そもそもすぐに辞められない
- 退職書類がもらえない
- 懲戒解雇になる可能性がある
- 損賠賠償請求をされるリスクがある
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
1. そもそもすぐに辞められない
民法では、以下のような規定があるため、メールを送ったからといってその場で退職はできません。
労働者には「退職の自由」がある。そのため、退職を希望する労働者は自由に退職することができ、退職の意思表示から2週間が経過すると雇用関係が終了(=退職)する。
引用:民法第627条
つまり、退職したいと伝えても2週間は会社に在籍する必要があります。 メールを送れば、即日辞められるわけではない点を理解しておきましょう。
2. 退職書類がもらえない
無事に退職できても、退職書類がもらえない可能性があります。 退職時にもらう書類には、転職先や失業保険の受給に必要なものも含まれます。
年金手帳を会社が預かっているケースもあるので、書類が受け取れないと困るのはあなたです。
退職後に書類の受け渡しで会社と連絡を取らなければならないので、相手の言い分を無視するのはおすすめできません。会社と退職後にトラブルになるような辞め方は避けるべきです。
3. 懲戒解雇になる可能性がある
メールを送ってそのまま出社しなかった場合、最悪のケースでは懲戒解雇になります。
会社側から退職の意思について「メールが届いていない」「読んでいない」と主張されると反論するのは難しいでしょう。 メールのやり取りがない状態では、無断欠勤扱いになる可能性があります。
さらに、過去には2週間以上無断欠勤が続いた社員に対して、会社側の懲戒解雇が認められた判例もあるので要注意です。
懲戒解雇になると、失業保険の受給が遅くなったり再就職に影響したりと良いことはありません。
バックレをした場合のリスクについては「【危険】バックレた際に発生する8つのリスク!退職代行がおすすめの理由」にて解説しています。バックレを検討している人は、参考にしてみてください!
4. 損賠賠償請求をされるリスクがある
以下のようなケースに該当する場合は、退職の意思をメールだけで伝えて会社を辞めると、損害賠償請求をされるリスクがあります。
- 辞めた当人しか対応できない業務の引き継ぎを怠った結果、会社に損害を与えた
- 辞める際に同僚や先輩を引き抜いた
- 有期雇用契約を結んでいたのに退職した
なぜなら、これらのケースはいずれも会社側に損害を与えているため、損害賠償請求が認められる可能性があるからです。
なお、会社側に損害を与えていない場合は、弁護士費用や裁判の手間を考えると割に合わないため、損害賠償請求される可能性はかなり低くなります。
退職をメールで済ませても良い3つのケース
基本的にメールで退職を伝えるのはマナー違反ですが、やむを得ない事情がある場合は、許されることもあります。
- 体調不良で対面できない
- 精神的につらくて出社が困難
- 怪我や病気で入院している
それぞれのケースについて詳しく見てみましょう。
1. 体調不良で対面できない
長期入院が必要な病気に罹った場合は、外出さえ難しくなります。 もともと体調不良で会社を休んでいて出社が難しい場合は、電話での退職が認められるケースもあります。
長期入院をしていて完治の目処が立たない場合や、不調が続いて外にも出られない場合は、メールで伝えるだけでも問題視はされないでしょう。
なお、体調不良のサインについては「仕事が限界のときに出てくる13のサインとは?心身を回復する対処法も解説」にて解説しています。
自身が体調不良かどうか確かめたい人は、参考にしてみてください!
2. 精神的につらくて出社が困難
メンタルが限界を迎えてしまい精神的に出社が困難なケースでも、メールで辞められることがあります。
会社に向かおうとすると震えが止まらなかったり、涙が出てしまったりする場合は、精神的に不安定な状態です。メールで連絡しても、理解されやすいでしょう。
なお、うつ病で診断書が必要な理由については「【徹底解説】うつ病で退職する際に診断書が必要な理由とは!やるべき5つのことも紹介」で詳しく解説しています。
精神的な病が原因で退職代行を利用したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
3. 怪我や病気で入院している
怪我や病気が原因で入院しており出社ができない場合も、メールで退職を伝えても問題ありません。
上司に病院に来てもらうことも可能ですが、時間がかかるだけでなく、相手にも負担を与えてしまいます。
入院している状態では、会社まで行くのが難しいため、上司も理解してくれるでしょう。
退職をメールで済ませるときの注意点
メールで退職の意思を伝えるときは、以下の点に注意しましょう。
- 退職の相談から始める
- マナー違反であることを詫びる
- 直属の上司にメールする
- 退職届の証拠としてメールの内容は残す
- 今後の連絡方法を確認する
- 退職日を確定させる
- 退職理由を聞かれたくないなら一身上の都合を貫く
- 退職の決意が固まったらなるべく早く伝える
それぞれ具体的に解説します。
1. 退職の相談から始める
体調や精神の不調によりもう出社できない状態だったとしても、いきなり「退職します」と宣言して辞めるのはマナー違反です。
出社が難しいので退職を考えているというように相談ベースで伝えるようにしましょう。
2. マナー違反であることを詫びる
やむを得ない事情があるとはいえ、基本的にメールで退職を相談して辞めるのはマナー違反です。
急な退職では、仕事の引き継ぎや業務の分担も満足にできないため、必ず相手にマナー違反である点を謝罪しましょう。
本当に申し訳ないという気持ちを伝えたうえで退職を切り出せば、上司にも理解してもらいやすいでしょう。
また、合わせて迷惑をかけて本当に申し訳ない気持ちやこれまでお世話になった旨も忘れずに伝えましょう。
3. 直属の上司にメールする
上司からのパワハラやモラハラが原因で退職する場合であっても、最初は上司へメールで伝えるようにしましょう。
いきなり人事部や役職を超えた上司に連絡した場合「まずは直属の上司と相談するように」と言われてしまうからです。
直属の上司にメールで連絡してもまともに対応してもらえない場合は、ccやbccに人事担当者を含めるようにすれば、無視はされないでしょう。
4. 退職届の証拠としてメールの内容は残す
上司との退職に関するメールのやりとりはすべて残しておきましょう。 その理由は、一度退職を認めても辞める直前に条件を変えられる可能性があるからです。
退職の許可が出たからと安心してメールを消してしまっては証拠が残りません。
退職日を迎えて、必要な書類をすべて受け取るまでは、やり取りの記録をすべて残しておきましょう。
5. 今後の連絡方法を確認する
退職を無事に認めてもらった後は、今後するべき手続きと連絡方法も確認してください。 手続きや連絡については、メール・郵送・電話といった手段があります。
あらかじめ連絡方法を知っておけば、こまめに確認しやすくなります。 また、退職後に手続きを求められることもあるので、期日内に必ず行いましょう。
6. 退職日を確定させる
退職が認められても、連絡をしたその日に退職できるケースはあまりありません。
民法第627条第1項に、退職の意志表示から2週間で雇用関係が終了すると定められており、2週間よりも早く辞められないケースもあります。
よって、退職の意思を伝える際に退職日の確認もしておきましょう。
会社との退職日の調整をした結果、2週間後以降に辞めることになった場合は、有給休暇を消化する形か欠勤扱いにするかのいずれかになります。
7. 退職理由を聞かれたくないなら一身上の都合を貫く
メールで退職を伝えたときに理由を聞かれたくないという方は「一身上の都合」を貫くようにしてみてください。
人間関係や業務内容で退職するといえば、環境を改善するからと引き止められる可能性があります。加えてネガティブな理由を答えることで、気まずい思いをするかもしれません。
一身上の都合を貫けば、深掘りされず、嫌な思いをしなくて済むでしょう。
8. 退職の決意が固まったらなるべく早く伝える
退職の決意が決まったら、なるべく早く伝えるようにしてください。 法律上は2週間前に退職の意思を伝えればよいとされていますが、業務の引き継ぎや手続きなどの時間がかかる可能性があります。
伝えるタイミングが遅いと会社側も忙しくて対応が難しくなるので、なるべく早く伝えるようにしましょう。
また就業規則で「退職の◯日前までに伝える」というルールが決められている場合は、その通りの手続きになるケースが多くなります。
退職をメールで済ませるときの例文
退職をメールで済ませたいけど、どのような文章を送れば良いのかわからない人も多いでしょう。 そこで理由別に退職メールを送る文章例を紹介します。
- パワハラによる退職のメール文
- 体調不良による退職のメール文
- 人間関係による退職のメール文
- 残業や休日出勤による退職のメール文
- 給与面の待遇による退職のメール文
どうしてもメールで退職をしたい人は、参考にしてみてください。
1.パワハラによる退職のメール文
パワハラが原因で退職をする場合、メールで以下のような例文を送ります。
●●さん お疲れ様です。●●です。 突然のご連絡で申し訳ありません。 良好な関係を築くのが難しいため、●年●月●日をもって退職いたします。 ●● |
パワハラの場合、具体的に記載して証拠を揃えておく必要があります。 なお、パワハラを理由に退職したとバレたくない場合は、一身上の都合のためといった書き方が無難です。
2.体調不良による退職のメール文
体調不良が原因で退職をする場合、以下のようなメール文を送りましょう。
●●さん お疲れ様です。●●です。 突然のご連絡で申し訳ありませんが、●月を目処に退職を考えております。 体調不良の状態が続いており病院に行ったところ、 ご迷惑をおかけしますが、退職日までは有給休暇という形にさせていただければと存じます。 これまでご指導いただき本当にありがとうございました。 直接お伝えしたかったのですが、体調不良により出社が難しいため、 退職届については、後日郵送させていただきます。 ●● |
医師の診察を受けたことを伝えれば、強く引き止められる可能性は低くなります。また、体調不良により直接伝えるのが難しい点も記載しておきましょう。
3.人間関係による退職のメール文
続いて、人間関係が原因で退職する際のメール文を紹介します。
●●さん お疲れ様です。●●です。 突然のご連絡で申し訳ありませんが、一身上の理由により●月●日をもちまして退職を考えております。 直接話すべきでしたが、出社することが難しくメールでのご連絡になり大変申し訳ありません。 これまでご指導いただきありがとうございました。 退職届については、後日郵送させていただきます。 ●● |
人間関係が原因で退職する場合は、あまりストレートに伝えないほうが良いでしょう。というのも、どの会社に行っても人間関係の不満は出やすいため、悪い印象を与えかねないからです。
4.残業や休日出勤による退職のメール文
残業や休日出勤に不満がある場合のメール文を紹介します。
●●さん お疲れ様です。●●です。 突然のご連絡で申し訳ありませんが、一身上の理由により●月●日をもちまして退職を考えております。 現在の働き方ではスキルアップの時間を確保しにくいと感じており、退職を決意しました。 本来であれば直接話すべき内容でしたが、メールでのご連絡になり大変申し訳ありません。 これまでご指導いただきありがとうございました。 退職届については、後日郵送させていただきます。 ●● |
残業や休日出勤に不満がある場合、少しでも円満に退職するためには前向きな理由を伝えるようにしましょう。
また、家庭と仕事の両立が難しく家族のことを考えると退職したいといった伝え方でも問題ありません。
5.給与面の待遇による退職のメール文
最後に給与面の待遇に不満がある場合のメール文について解説します。
●●さん お疲れ様です。●●です。 突然のご連絡で申し訳ありませんが、一身上の理由により●月●日をもちまして退職を考えております。 理由といたしましては、ここ最近新しい仕事にチャレンジをしたいという気持ちが出ており、 これまで●さんからは丁寧にご指導いただきありがとうございました。 退職届については、後日郵送させていただきます。 ●● |
給与面に不満がある裏には、自分の成果を評価してもらえていない、頑張りが給与に反映される環境で働きたいという気持ちがあります。
そのため、給与に不満があるという伝え方ではなく、成長したい、チャレンジしたいといった前向きな理由に変えて伝えると受け入れてもらいやすくなります。
退職のアポをメールで切り出すときの例文
ここからは、メールで退職を切り出すときの例文を紹介します。
お疲れさまです。〇〇です。
お忙しいところ失礼いたします。突然のご連絡で申し訳ありませんが、体調が悪化して復帰の目処が立たないため、○月を目処に退職を考えております。
また、本来であれば出社して直接お伝えすべきところですが、体調不良のために外出が難しく、メールでのご連絡となり申し訳ございません。
こちらの都合で大変申し訳ありませんが、
今後についてメールでご相談させていただけると助かります。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
退職をメールで済ませた後の流れ
- 退職届を提出する
- 返却物を郵送する
- 必要書類を受け取る
1. 退職届を提出する
退職自体はメール連絡だけでも成立します。ただ、会社側から退職届の提出を求められるケースがほとんどです。2. 返却物を郵送する
退職を認められたら、会社から借りている備品は返却しなければなりません。その理由は、借りている備品を返さなければ、窃盗罪にあたるからです。 以下のものは返却が必要です。- 制服
- 社員証
- 保険証
- 社章
- 名刺
- 定期券
- 貸与しているパソコン・携帯電話
3. 必要書類を受け取る
会社から退職する際には、以下の書類を受け取らなければなりません。会社から受け取る書類 | 受け取れない場合に相談する場所 |
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離職票 | ハローワーク |
源泉徴収票 | 税務署 |
年金手帳 | 年金事務所 |
厚生年金基金加入員証 | 年金事務所 |
健康保険被保険者資格喪失証明書 | 保険組合 |
退職をメールで済ますなら退職代行を利用しよう
退職をメールで済ますくらいであれば、退職代行の利用を検討してみてください。 とはいえ、退職代行がどのようなサービスかわからない方も多いでしょう。- 即日退職が可能
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