「試用期間中に退職はできるの?」
「入社14日以内でも即日退職をしたい」
と悩んでいませんか?
仕事が合わなかったり体調不良に陥ったりして、一刻も早く退職をしたいと考える方もいるでしょう。
しかし、試用期間中は正式に採用されているわけではないので、「即日退職ができるのかわからない」と考えているのではないでしょうか?
この記事では、
- 試用期間中でも即日退職は可能か?
- 試用期間中でも即日退職ができる4つのケース
- 退職理由の伝え方
についてくわしく解説します。
試用期間中に退職する際に把握しておかなければならない注意点も解説するので、後悔する心配はありません。
退職しようか悩んでいるのであれば、ぜひ参考にしてください。
試用期間中であっても14日以内の退職は不可能
試用期間は業務の適性や会社の社風と合うかなどを判断するために、会社側が独自に設けている制度です。
試用期間は会社により異なり、短ければ1か月、一般的には3~6か月程度。
試用期間中であっても雇用条件は変わりません。退職をしたい場合は、退職日の2週間前(14日)までに伝える必要があります。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
また多くの企業では就業規則があるが、法律的な強制力はない(退職の1ヶ月前までに申し出なければならないなど)
つまり、入社して14日以内に即日退職はできません。しかし、試用期間であっても退職をしたい日の14日前に伝えれば辞めるのは可能です。
したがって、入社初日に退職の意思を伝えた場合は、最短で14日後に辞められます。
入社14日以内に即日退職できる4つのケース
どんなに会社に行きたくなくても、原則、入社してから14日以内に退職するのは不可能です。
しかし、以下のケースに該当する場合は即日退職が可能です。
- 会社側と即日退職について合意した
- 雇用契約書の記載内容と実際の業務が著しく異なっている
- パワハラやセクハラがあった
- 体調不良や怪我などで業務を続けるのが難しい
具体的にどのような状況なのか順番に見ていきましょう。
1.会社側と即日退職について合意した
法律上は、退職日の14日前までに退職の意思を伝えなければなりません。そのため、試用期間中の退職を認められても、14日間は出勤し続ける必要があります。
しかし、会社側と退職について合意できた場合は、交渉次第で好きな退職日を設定可能です。
試用期間中に退職をされると、会社は急いで引き継ぎや代わりの人材を用意する必要があります。
わずか2週間で人材を確保するのは難しいため、即日退職は歓迎されません。
とはいえ「退職をしたいときは一刻も早く伝えてほしい」と考える会社もあり、即日退職が認められる可能性はあります。
2.雇用契約書の記載内容と実際の業務が著しく異なっている
入社する際は、労働者と会社の間で雇用契約書を結びます。雇用契約書には、以下のような労働条件が記載されています。
- 労働時間
- 休日
- 給与
- 業務内容
- 所定労働時間を超える労働の有無
- 昇給についての規定
- 退職についての規定
なかには雇用契約書に記載された内容と違う条件で働くことを強いる会社もあるので注意してください。
「残業や休日出勤がないはずなのに強制された」「業務内容が事前に説明されたものと明らかに違う」といったケースでは、即日退職ができる可能性もあります。
このことは、労働基準法第15条で定められています。
前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
また、会社側が労働条件通知書を用意していないなど悪質な場合は、退職の意思を伝えて14日を待たなくても辞められます。
3.パワハラやセクハラがあった
パワハラやセクハラがあったケースも即日退職が可能です。なぜなら、労働基準法第5条違反にあたるからです。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
さらにパワハラ防止法(労働施策総合推進法)により、パワハラやセクハラを理由に、会社側は退職した社員を解雇したり不利益になる扱いをしたりできません。
なお、パワハラやセクハラを受けたときは、必ず証拠集めをしておいてください。証拠集めをしておくことで、会社側から訴えられても有利に裁判を進められるからです。
4.体調不良や怪我などで業務を続けるのが難しい
体調不良や怪我などで業務を続けるのが難しい場合も即日退職が可能です。
なぜなら、体調不良や怪我などは民法628条で定められている「やむを得ない事由」に該当する可能性が高いからです。
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用:民法628条|e-Gov
仮に会社から訴えられても、労働者側が裁判で負ける可能性は低いといえます。
なお、即日退職ができる理由を満たしていても、バックレをするのはおすすめできません。
退職ができても、離職票の発行をしてもらえないため、失業保険を受け取れないおそれがあるからです。
また、懲戒解雇扱いになり、転職活動にも響くので注意してください。
会社をバックレた際のデメリットについては「【危険】バックレた際に発生する8つのリスク!退職代行がおすすめの理由」で解説していますのでご覧ください。
試用期間中の退職理由の伝え方
試用期間中に辞める方はほとんどいないため、どのような退職理由を伝えればよいのか悩むのではないでしょうか?
試用期間中であっても退職理由は自由に決められるので、一身上の都合でも問題はありません。
とはいえ、上司に退職を伝える際、もっともらしい理由が欲しいと考える方も少なくないでしょう。
そこで試用期間中に適した退職理由を3つ紹介します。
- 社風や人間関係が合わない
- 思っていた業務と異なっていた
- 体調不良や怪我が原因で働けない
例文も用意しましたので、ぜひ参考にしてください。
1.社風や人間関係が合わない
試用期間中に退職をしたいと考えるもっとも多い理由は、入社前と入社後のギャップです。希望を持って入社したにもかかわらず、社風や人間関係が合わずに苦痛を感じることは少なくありません。
社風や人間関係が合わなかった場合は、以下のように退職理由を伝えてみてください。
「これまでお世話になりましたが、退職させていただきたいと考えています。
入社前は活気がある社風で面接を担当してくれた方が気さくで話しやすい方だったので、安心して働けると考えていました。
しかし、短い期間ですがいざ働いてみると、どうしても自分の性格と社風が合いませんでした。
まだ試用期間であるにもかかわらず、退職することになり申し訳ございません。
もう少し働くことも検討しましたが、このように中途半端に働き続けても迷惑がかかると思い、相談させていただきました。」
社風や人間関係について伝える際は、あまり批判しすぎないように注意しなければなりません。
2.思っていた業務と異なっていた
入社前に聞かされていた内容と実際の業務が異なるケースもあります。思っていた業務と異なっていた場合は、以下のように伝えてください。
「短い間ですが、退職させていただきと考えております。入社前は営業を任せていただけるということで、この会社で働けるのを楽しみにしていました。
しかし、覚えることがあまりにも多く、また営業の仕事が自分に向いていないのではないかと思うようになりました。
●さんには、入社以来気にかけていただいたにもかかわらず、このような結論に至り、大変申し訳ありません。
もう少し頑張りたいと思いましたが、成果を出す自信が持てないため、退職させていただきます。」
また、雇用契約書の内容とそもそも業務内容が違う場合も退職可能です。
違和感を感じていてもそのまま働き続ける方が多いですが、十分退職理由になります。
3.体調不良や怪我が原因で働けない
仕事を続けたくてもやむを得ず体調不良や怪我で働けない方もいるでしょう。そのようなときは以下のように伝えてください。
「入社直後から体調不良が続いており、いまも体調が満足に回復しておりません。この状態が続けば、業務にも支障が出るため、●さん(上司の名前)やほかの先輩方にも迷惑がかかると思っています。
休日に病院に行き、医師から「休んだ方がいい」との診断を受けたため、治療に専念したいので退職させていただきたいと考えています。
試用期間中であるにもかかわらず、このような状況になり大変申し訳ありません。短い期間しか働けませんでしたが、指導してくださった方には感謝しております。」
なお、パワハラやセクハラなど退職の理由次第では、そのまま伝えない方がよいケースもあります。
直接伝えてしまうと、罵倒されたり嫌がらせをされたりするおそれがあるからです。
また会社側に否があっても、職場を批判しすぎると、円満に退職ができないので注意しましょう。
最悪のケースでは、悪い噂が広がり転職活動にも影響が出るかもしれません。
試用期間中に退職する際の注意点を解説
試用期間中と一般的な退職では、いくつか注意しなければならない点があります。
- 退職したい日の2週間前までに伝える
- 転職がうまくいかないリスクがある
- 失業保険がもらえない
これらの注意点を把握した上で、退職を検討してください。
1.退職したい日の2週間前までに伝える
法律上では、退職日の2週間前までに伝えれば退職は可能です。しかし、2週間で新たな社員を確保するのは難しいため、会社側の印象は悪くなります。
円満退職をしたいのであれば、就業規則に定められている規定通りに退職しましょう。
多くの会社は、退職の意思を伝えるタイミングを退職日の1か月前までに定めています。その場合、1か月前までに退職したい旨を伝えれば問題ありません。
2.転職がうまくいかないリスクがある
試用期間中に退職をしたら、転職先を見つける必要があります。ただ転職がうまくいかないリスクもあるので注意してください。
面接官は「うちでも試用期間中に退職をするのでは?」「長く働いてくれなさそう」といった印象を持つからです。
試用期間中に退職した理由についても確実に聞かれるでしょう。嘘をつくのはNGですが、面接官が納得する理由を用意しておく必要があります。
3.失業保険がもらえない
試用期間中かどうかにかかわらず、入社してから6か月以内に退職をすると、失業保険の給付対象から外れます。
この場合、退職後3か月が経過したとしても、失業手当を受け取れません。また、会社都合退職の場合も同様に受け取れないので注意してください。
試用期間中の退職により転職活動がうまくいかなければ、収入がない状態がずっと続く可能性があります。
試用期間中に退職するときの手順
試用期間中に退職をするときは、以下の手順に沿って手続きを進めてください。
- 上司に退職の意思を伝える
- 退職届を提出する
- 業務の引き継ぎを行う
くわしく解説します。
1.上司に退職の意思を伝える
まずは上司に退職の意思を伝えなければなりません。退職の意思を伝える相手は直属の上司です。
先に直属の上司以外の方に退職の意思を伝えるのはマナー違反です。上司の印象が悪くなり円満退職ができなくなるかもしれないので、避けてください。
また、メールやLINEなどで伝えるのも失礼にあたります。できる限り上司と2人になれる時間を作り、直接口頭で伝えましょう。
2.退職届を提出する
試用期間中に退職をする際も退職届の提出は必要です。退職届には以下の内容を記載してください。
- 退職する意思
- 退職理由
- 退職予定日
なお、退職届の出し方や注意点については「パワハラする際の退職届の書き方とは?会社都合で退職すべき理由も解説!」で解説していますのでご覧ください。
3.業務の引き継ぎを行う
試用期間中に退職するケースであっても、業務の引き継ぎを求められる可能性があります。円満に退職をするためには、指示に従い引き継ぎを行ってください。
ただし、試用期間中に退職する場合、引き継ぎなしで退職できるケースもあります。
確実に辞めたいなら退職代行を利用しよう
試用期間中の退職は会社によいイメージを持たれません。そのため、ついつい退職を先延ばしにしてしまう方もいるでしょう。
また「退職したくても引き止めに遭わないか不安」「パワハラやセクハラが原因なので、直接上司に伝えづらい」という方もいるかもしれません。
そのような場合は、退職代行をおすすめします。退職代行を利用すれば、あなたの代わりに担当者が退職の意思を伝えてくれます。
ほぼ100%の確率で退職ができるので、辞められずに悩む必要もありません。
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