退職での引き止めが違法になる6つの事例!3つの対処法や4つの理由も解説

「退職を申し出たのに、上司から拒否されてしまった」
「退職させてくれない会社は違法になるの?」
「なんとかして会社を辞めたい!対処方法はある?」
このようなお悩みを抱えていませんか?

退職を申し出たのに、却下されてしまった方もいるのではないでしょうか。深夜までの残業や上司からのパワハラなど、辛い状況から一刻も早く抜け出したいですよね。

退職できないのは、法律上は違法となります。そのため、上司にから引き止めされようとも、会社は辞められます。

この記事では、退職できなくて悩んでいる方に向けて、

  • 法律上の見解
  • 違法となる引き止め例

などを解説します。

安全かつ素早く辞める方法も紹介しますので、退職を希望している方は、ぜひ当コラムを参考にしてみてください。

目次

退職できないのは法律上アウト!2つの雇用形態の見解を解説

会社が退職させてくれないのは、違法扱いになるケースがほとんどです。しかし、雇用期間の定めの有無で、見解が異なります。

こちらでは、以下2つの雇用形態に分けて、退職できるタイミングや法律などを解説します。

  1. 無期雇用契約の場合
  2. 有期雇用契約の場合

順番にみていきましょう。

1.無期雇用契約の場合

働く期間が定まっていない「無期雇用契約」は、2週間前に退職の意思を告げることで退職できます

実際の法律は以下の通りです。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法第627条

退職を申し出た際は、理由を問わずに会社を辞められることになっています。

2.有期雇用契約の場合

働く期間の定めのある「有期雇用契約」は、基本的に契約の途中で辞められないことになっています。主に、契約社員や派遣社員などが該当します。

ただし、やむを得ない理由がある場合は、期間中でも退職が可能です。法律では、以下のように定められています。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用:民法628条

やむを得ない理由は、主に以下の通りです。

  • 妊娠・出産
  • 病気・ケガ
  • 家族の介護

ただし、なにを持って「やむを得ない」と決めるのかは、明確な法律がありません。そのため、勤務先との話し合いによって判断されることが多いです。

なお、契約期間の初日から1年経過すれば、やむを得ない事由かどうかにかかわらず、いつでも退職できます労働基準法では、以下のように記されています。

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号(専門職・高齢者の例外)に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
引用:労働基準法第137条

このように有期雇用契約は、状況に応じて見解が異なります。そのため、会社を辞める際には、退職理由や勤務期間などに注意が必要です。

違法となる退職できない6つの引き止め例

会社から引き止めにあい、なかなか退職できない人も多いのではないでしょうか。理由によっては違法となるため、従う必要はありません。

こちらでは、違法となる引き止め例を紹介します。主に、以下の6つです。

  1. 後任がいない
  2. 給料を支払わない
  3. 有給消化を認めない
  4. 懲戒解雇扱いにする
  5. 損害賠償を請求する
  6. 離職票を発行しない

それぞれの引き止め理由がどのような法律に違反するのか、詳しく解説します。

1.後任がいない

後任がいないことを理由に引き止めることには、法的な強制力はありません。人手不足は、あなたのせいではなく、会社都合によるものだからです。

民法627条では、2週間前に退職の意思を告げることで退職できると定めらています。理由を問わずに会社を辞められるため、後任が見つかっていなくとも退職は可能です。

人手不足を理由になかなか退職できない方は、関連記事「退職したいのに人手不足を理由に引き止めに合っている人必見!会社をやめる4つの方法を紹介」をチェックしてみてください。

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2.給料を支払わない

「会社を辞めると今月分の給料を支払わない」といった引き止めは、法律違反になります。

労働基準法第24条では、給料の支払いは会社の義務と定められているためです。違反すると、罰金を課すものとしています。

給料だけでなく、残業代や退職金を支払わないことも違法行為です。「給料を支払わない」と言われても、退職する意思を貫きましょう。

3.有給消化を認めない

退職時に有給消化を認めないことも、法律違反に当たります。会社を辞める意志を伝えたからといって、有給取得の権利がなくなるわけではないためです。

労働基準法第39条では、有給消化は、労働基準法で規定された労働者の権利としています。そのため、労働者が有給取得を望んだ場合に会社がそれを拒むのは違法です。

退職する際に有給を消化できなきて悩んでいる方は、関連記事「退職時に有給を消化できないときの対処法4選!安全かつ確実に消化しきる方法とは?」を参考にしてみてください。

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4.懲戒解雇扱いにする

懲戒解雇とは、労働者に罰を与えるための解雇であり、極めて重い処分です。退職金を受け取れなかったり、転職時に不利になったりするなどのデメリットが生じます。

退職の意志を伝えたことで、懲戒解雇扱いとされるのは違法です。

労働契約法15条・16条では、懲戒解雇にできるのは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合に限ります。例えば、会社の財産を横領したり、パワハラやセクハラなどの加害者になったりしたときに下されます。

そのため、転職や結婚などを理由に退職する場合は、懲戒解雇扱いにはなりません。上司から脅されても、安心して会社を辞める手続きを進めましょう。

5.損害賠償を請求する

退職を理由に損害賠償を請求するのは、違法行為です。

民法709条では、故意又は過失によって違法な権利侵害行為を行い、他者に損害を与えた場合に損害賠償責任を負うとされています。

例えば、

  • 引継ぎをせずに会社を辞める
  • やむを得ない理由がないのにも関わらず一方的に退職する(有期雇用)
  • 退色する際に、他の従業員の引き抜きをする
  • 無断欠勤で出社を拒否する

などの行為が挙げられます。

このように会社に多大な損害を与えた場合でないと、損害賠償は請求されません。

ただし、派遣社員や契約社員などの有期雇用の場合、やむを得ない理由がないにも関わらずに退職する場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。期間中の退職はリスクが高いため、できるだけ避けましょう。

6.離職票を発行しない

離職票とは、失業保険を請求したり、転職先へ提出したりする際に使用される書類です。簡単にまとめると、会社を辞めた後にもらえないと困るもの。

雇用保険法76条3項では、退職者からの請求に応じて離職票を交付する義務があると定められています。そのため、退職するからといって「離職票を発行しない」と引き止められるのは、違法行為に当たるのです。

退職するときに上司が引き止める4つの理由

上司が退職を引き止める理由はさまざまです。会社都合で引き止めてくることもあれば、あなたのことを考えてくれている場合もあります。

こちらでは、上司が引き止めてくる理由を4つ紹介します。

  1. 新規で人材を採用したくないから
  2. 上司の管理責任問題になるから
  3. 他の社員の仕事量が増えるから
  4. 今後のキャリアを心配してくれるから

一つひとつ確認していきましょう。

1.新規で人材を採用したくないから

あなたが会社を辞めてしまったら、人手が足りなくなりますよね。

退職者が出れば、新規で人材を採用するしか解決策はありません。一時的に他の社員に仕事を分配することはできますが、それを継続することは難しいです。

人材を採用するにもコストがかかるので、できれば新規採用はしたくないでしょう。あなたが辞めなければ会社が採用コストをかける必要がないため、引き止めてくるわけです。

2.上司の管理責任問題になるから

上司には部下を管理する責任があります。

同じ部署から何人も退職者が出ると、当然、管理責任を問われます「退職者が多いのは上司に問題があるためである」と、経営陣から判断されるためです。

上司自身の評価を保つために、あなたを引き止めてきます。この場合は、会社都合なので気にせず辞めて大丈夫です。

3.他の社員の仕事量が増えるから

退職者が出ると、その人の仕事を他の社員に分配します。一時的なら納得してもらえますが、長期的になると社員一人ひとりの負担が大きくなり、残業になるリスクが高まります。

ただでさえ忙しいのに他の人の分まで働かなければならなくなると、社員の不満は溜まっていく一方です。

また、ひとり辞めてしまうと後に続いて退職希望者が出てしまうことも。他の社員のモチベーションが下がるため、引き止めてくる場合があります。

4.今後のキャリアを心配してくれるから

入社したばかりや経験が浅い場合は、上司が心配して引き止めてくることがあります。同じ分野で転職するなら、もう少し経験を積んだ方が良いと言ってくれることも。

この場合は、自分がなぜ転職したいのか考えてみましょう。

同じ分野で転職するならありがたい言葉で、そのとおりにしたほうがキャリアにつながるかもしれません。しかし、そもそも違う分野で働くなら、上司のアドバイスは余計なお世話になってしまいます。

転職のタイミングは今じゃないと言ってくれるのはありがたいですが、あまり気にしなくて良いことがほとんどです。

上司が退職を引き止めてくるパターン5選

上司に引き止められると、どう答えたら良いかわからなくなりますよね。引き止めてくるパターンを知っておくと、いざというときに役立ちます

こちらでは、上司が退職を引き止めてくる5つのパターンを紹介します。

  1. 必要不可欠な存在だと訴えられる
  2. 待遇をよくすると提案される
  3. 退職時期を延ばすようお願いされる
  4. 今後の不安をあおられる
  5. 懲戒解雇にすると脅される

それぞれ確認していきましょう。

1.必要不可欠な存在だと訴えられる

「辞めてしまったら仕事が回らなくなる」や「仕事の中心的な存在で今辞められてしまうと困る」などと、情に訴えかけてくることがあります。

他の社員のことを考えて退職を撤回しても、自分が辛い事実は変わりませんたとえ、職場の環境を変えるからと言われても、すぐに変えることは難しいですよね。

情に訴えかけられてどうしたら良いかわからなくなった場合は、退職する理由を思い出してみてください。強い意志があるから退職を決意しています。

会社側の都合に合わせる必要はないため、覚悟を決めて辞める意思を貫きましょう。

2.待遇をよくすると提案される

「昇給させるから辞めないでほしい」や「働きにくい環境なら改善する」といった待遇をよくする提案をされることがあります。

退職する理由は「給料が低い」や「人間関係がよくない」の他にもあるのではないでしょうか。

辞める理由が本当に上司から提案された改善案で解決されるなら、退職しない選択をしてもよいかもしれません。しかし、それだけで改善されない場合は、きちんとお断りするのがおすすめです。

会社が約束を守ってくれる保証がないので、安易に踏みとどまるのはやめましょう。

3.退職時期を延ばすようお願いされる

「今辞めれるのは困る。あと3ヶ月で良いから残ってくれないか」と、退職時期を延ばすようお願いされることがあります。

自分自身で納得がいくのであれば延ばしても問題ないですが、強い意志で断るのがおすすめです。

筆者は、実際に退職時期を3ヶ月延ばすようお願いされて承諾しました。後悔はしていませんが、その3ヶ月間が辛かったのは事実です。

「きちんと断れたら今頃仕事から解放されていたのに」と、考えたことが何度もあります。

退職時期を延ばすようお願いされても、丁重にお断りするのが良いでしょう。

4.今後の不安をあおられる

「このまま転職してもやっていけない」や「この会社で働き続けた方があなたに向いている」といったことを言われることがあります。

不安をあおられても、きちんと退職の意志を伝えることが大切です。

会社に残るのも退職をするのも決めるのはあなた自身です。他人からとやかく言われる筋合いはありません。自分の選択に自信を持ちましょう。

5.懲戒解雇にすると脅される

「退職するなら懲戒解雇にする」と脅されるケースがあります。

懲戒解雇は、労働者に罰を与えるための解雇です。「違法となる退職できない6つの引き止め例」でも解説しているとおり、退職の意志を伝えたことで懲戒解雇にするのは違法です。

上司に退職の意志を伝えて話を聞いてもらえないようなら、さらに上の上司か人事担当者に相談しましょう。

それでも取り合ってもらえない場合は、労働基準監督署や退職代行サービスに相談するのもひとつです。

退職できないときの対処法3選

会社から引き止めにあい退職できない場合は、以下3つの対処法を試してみてください。

  1. 退職届を提出する
  2. 労働基準監督署に相談する
  3. 退職代行サービスを利用する

それぞれの方法について、順番に解説します。

1.退職届を提出する

会社をなかなか辞められない場合は、退職届を提出しましょう。

退職届は退職願とは違い、一度提出すると撤回が難しいものです。つまり「会社を辞める」という強い意志を伝えられます。

退職届は、直属の上司に提出します。万が一受け取ってもらえなかった場合は、さらに上の立場の上司へ出しましょう。

それでも受け取ってもらえなかったら、内容証明郵便を利用してみてください。

内容証明郵便は、いつ、どのような内容を、誰に向けて送ったかを日本郵便株式会社が証明する制度です。送付する際に作られる謄本を、差出人と郵便局で保管することで証拠が残るようになっています。

2.労働基準監督署に相談する

労働基準監督署とは、労働基準法や労働契約法を始めとした法律を違反する企業を取り締まる機関。簡単にまとめると、労働者の味方となってくれる組織です。

労働基準監督署へ相談することで、勤務先へ行政指導が入る場合があります。その結果、会社を辞められる可能性が高まります。

ただし、労働基準監督署には、客観的に「退職できない」ことが分かる証拠が必要です。退職の意志を伝えたやり取りを音声データに残したり、メールを保存していたりすると、証拠として認められる可能性があります。

3.退職代行サービスを利用する

退職代行サービスとは、依頼者の代わりに、退職の意志を伝えたり、手続きを行ってくれたりするサービスです。

会社と依頼者の間でやり取りを行ってくれるため、勤務先と連絡を取る必要はありません。また、第三者が間に入ることで、退職をあっさり認めてくれる可能性が高まります。

退職代行サービスについては、関連記事「【まるわかり】退職代行とは?サービス内容やメリットデメリットを完全解説」にてより詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

退職できない際は退職代行サービスの利用がおすすめ!3つのメリットを解説

会社からの引き止めにあいなかなか辞められない場合は、退職代行サービスの利用を検討してみてください。こちらでは、3つのメリットを解説します。

  1. 最短即日で辞められる
  2. 有給休暇を消化できる可能性がある
  3. 上司と顔をあわさずに辞められる

順番にみていきましょう。

1.最短即日で辞められる

退職代行サービスを利用することで、最短即日で退職できます。例えば、深夜に依頼して、翌日の朝には出社しないということも可能です。

一方、自力で会社を辞めようとすると、引継ぎなどで1ヶ月ほど出社する必要があります。今すぐにでも退職したい人にとっては憂鬱ですよね。

一刻も早く会社を辞めたい方は、退職代行サービスの利用を検討してみてください。

2.有給休暇を消化できる可能性がある

退職代行サービスを利用するメリットは、有給を消化できる可能性が高まることです。代行業者が、あなたの代わりに有給消化の旨を会社に伝えてくれるためです。

普通に辞めようとすると、有給を使いきれなかったり、使用を認めてくれなかったりする場合が考えられます。本来違法となる行為ですが、ブラック企業でこのようなトラブルが発生するケースが少なくありません。

なお、確実に有給消化したい場合は、労働組合か弁護士が運営する退職代行サービスがおすすめです。法律上会社との交渉権が認められており、有給を利用できるよう交渉してくれます。

当メディアを運営している「退職代行SARABA」は、労働組合が運営しているサービスです。そのため、有給消化の交渉や未払い残業代の申請などを行えます。LINEによる無料相談も受け付けているので、疑問や不安があれば遠慮なくお問い合わせください。

>>退職代行SARABAを利用してみる

3.上司と顔をあわさずに辞められる

退職代行サービスには、上司と顔をあわさずに辞められるメリットがあります。代行業者があなたの代わりに手続きを行ってくれるためです。

直接やり取りする必要もないため、退職時にかかるストレスを軽減できます。上司が怖くて退職を言い出せなくて悩んでいる方は、ぜひ利用を検討してみてください。

下記の記事では、退職代行のおすすめランキングを紹介しています。当メディアがリサーチした30社の中から本当におすすめできる15社を厳選していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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