パワハラでやめるときの退職届の書き方とは? 会社都合で退職すべき理由と3つの注意点も解説!

「上司からパワハラを受けているので、すぐにでも退職したい」
「退職届の書き方について調べておきたい」
「パワハラ受けていることを、退職届に書かなきゃだめ?」

と悩んでいませんか。

厚生労働省が発表した「職場のハラスメントに関する実態調査について(令和2年調査)」によると、全国8,000名のうち、過去3年間にパワハラを受けた経験がある方は31.4%もいます。

ただ、パワハラが原因で辞めたい場合、退職届の書き方に注意しなければなりません。なぜなら、書き方を間違えれば、失業保険がもらえなくなる可能性があるからです。

そこでこの記事では、

  • パワハラが原因の退職届の書き方と手順
  • 退職届を書く際の注意点
  • 退職理由を会社都合にすべき理由

などについて解説します。

パワハラが原因での退職は、退職届の書き方に注意すれば、治療費や慰謝料を請求できます。ぜひ参考にしてみてくださいね!

目次

【例文あり】パワハラでの退職理由の書き方

パワハラが原因でやめるときは、その事実を必ず書き記すようにします「自己都合」と書かないように注意が必要です。

退職理由を空欄にするのは推奨できません。会社に自己都合退職として受理されると、パワハラを裏付ける証拠にならないため、裁判で不利になるかもしれないからです。

なお。退職届は、必ず書面で提出してください。もちろん、口頭で退職を伝えた場合も、民法上退職は認められます。

ただ、証拠になる書類がなければ、会社とトラブルになりかねません。

  • 退職理由をめぐる争い
  • 退職事実をめぐる争い
  • パワハラの時事についての争い

嫌がらせ目的で「退職は認めていない」と主張されるケースもあるので、必ず書面で残しましょう。

退職届は以下のように記載します。
—————————————————————————————————-

退職届

○○株式会社 代表取締役社長 ○○様

この度、パワハラが原因の会社都合により、○○年〇月〇日をもちまして退職いたします。

○○年〇月〇日

所属 氏名 (印)

—————————————————————————————————-

また、必ず署名と押印が必要。署名や押印がなければ、裁判で証拠書類として扱われない可能性があります。

退職届を書く際の注意点3つ

退職届を書く際にいくつか注意点があります。

  1. 一身上の都合という理由は避けた方が良い
  2. 会社に自己都合を強要されたらハローワークに相談
  3. 退職願では退職できないので注意

知らなければ、退職できなかったり、経済的に不利益を被ったりするかもしれません。必ず把握しておきましょう。

1.一身上の都合という理由は避けた方が良い

会社を退職する際によく使われる理由は一身上の都合。しかし、繰り返しになりますがパワハラで退職する場合は、退職理由に一身上の都合と書くのは避けましょう!

自己都合退職になるので、ハローワークから給付される失業保険の受給が遅れたり、受給額が少なくなったりします。

パワハラで退職する場合、会社都合であることを明記します。

パワハラが原因の退職は、労働者の責任ではありません。パワハラをした社員を雇用してる会社の責任で退職を強いられたと捉えられるからです。

ただ、上司に脅されたり一刻も早く退職届を受理してもらいたかったりで、「一身上の都合」と書いてしまう人もいます。ハローワークにその旨を伝えましょう。

2.会社に自己都合を強要されたらハローワークに相談

会社に自己都合と書くように共用された場合は、ハローワークで相談しましょう。実際にパワハラに当たる行為なのか、今の証拠でパワハラと認定されるかなどのアドバイスが受けられます。

なお、ハローワークの相談は無料です。会社都合退職にできなそうなときは足を運ぶことをおすすめします。

ちなみに、下記の機関でもパワハラの相談が可能です。

  • 総合労働相談コーナー
  • 労働基準監督署

どちらも無料なので、ぜひ活用してください。

また、会社都合退職と記入して退職届を出したら、自己都合に直さないと受け取れないと突き返された方もいるかもしれません。

泣く泣く自己都合退職で提出したため、もう諦めるしかないと考えている人もいますよね。

また、離職票の理由が自己都合に変えられていて、困っている方もいるでしょう。

実は、ハローワークに相談すれば、自己都合退職を会社都合退職に書き換えてもらえる可能性があります。

相談するにはパワハラの証拠が必要となるので、情報を集めて話をしに行ってみてください。

3.退職願では退職できないので注意

退職届と似た書類に退職願があります。しかし、退職願を提出しても退職できるとは限りません。なぜなら、退職願には強制力がないから。

あくまでも、雇用契約の解消を会社に申し込む行為なので、会社側に断られる可能性があります。

退職届を提出した場合、会社の意思にかかわらず退職できます。民法627条第1項にも定められているので、会社側も退職届けを受け取った場合、従わざるを得ません。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

出典:e-Gov法令検索

なお、提出した書類が退職届・退職願のどちらで扱われるかは、記載されている内容で判断します。

タイトルに退職届と記載しても、文章に退職の意思表示がなければ、退職願として扱われるので注意しましょう。

パワハラが原因で退職するときの手順3ステップ

パワハラが原因で退職をしようと考えている場合でも退職の手順は変わりません。そこで、一般的な退職までの流れを解説します。

  1. 可能なら退職日の1か月前までに退職の意思を伝える
  2. 手渡しや郵送で提出する
  3. 離職票を発行してもらう

順番に見てみましょう。

1.可能なら退職日の1か月前までに退職の意思を伝える

ほとんどの企業では、就業規則に退職についての取り決めも記載されています。そのため、退職する1か月前くらいまでに退職の意思を伝えなければなりません。

ちなみに、法律では2週間前までに伝える必要があります。

パワハラの加害者が上司の場合などは、人事や総務などに伝えましょう。

2.手渡しや郵送で提出する

退職理由を会社都合にしたくても、会社側が認めてくれないケースもあるでしょう。会社都合の退職を企業が嫌がる理由は、国から以下のような助成金をもらえなくなるからです。

  • トライアル雇用助成金
  • 中途採用等支援助成金
  • 地域雇用開発助成金

これらの助成金は一定の期間内に会社都合退職を行っていないことを支給条件にしています。

そのため、会社が退職届を受け取らない場合は、内容証明郵便で会社に送って下さい。内容証明郵便は、いつどのような内容の文章を誰から誰に送ったのかを証明する郵便のこと。

内容証明郵便を受け取った場合、退職届を提出した証拠になるので、受け取っていないという言い逃れができません。

3.離職票を発行してもらう

退職する際には会社から離職票を発行してもらいます。離職票は、転職活動や失業保険の給付申請に必要です。

離職票を発行してくれない場合やうっかり紛失した場合は、会社の人事や総務に連絡を取れば発行してもらえます。

しかし、何度連絡しても離職票を発行してもらえない場合は、ハローワークや労働基準監督署へ伝えましょう。

パワハラに該当する行為とは?

パワハラは、殴られたり蹴られたりだけとは限りません。身体的攻撃以外にもさまざまな種類があるので、以下のような行為もパワハラに該当する可能性があります。

主なパワハラ 全体に占める割合
精神的な攻撃 49.4%
過大な要求 33.3%
個の侵害 24.0%
過小な要求 21.2%
人間関係からの切り離し 20.5%
身体的な攻撃  5.8%

出典:厚生労働省

厚生労働省の調査では、パワハラのうち、身体的攻撃を受けた方はわずか5.8%です。

なお、どのような行為がパワハラに該当するかの線引きはこれまで不明瞭でした。

しかし、令和2年に厚生労働省がパワハラ指針を発表したことで、以下のような行為もパワハラ認定を受けやすくなりました。

  • 他の社員の前での叱責
  • 一人だけ別室で仕事させる
  • 雑用ばかりさせる
  • 自由参加の飲み会へ強制参加
  • スマホを覗き見やかばんを物色される

ただし、すべての行為がパワハラに該当するわけではありません。

たとえば「遅刻をした際に注意を受けた」「繁忙期に通常よりも多めの業務を与えられた」などはパワハラに該当しません。

【証拠を集めよう】パワハラに該当する行為とは?

パワハラの被害を訴えたい場合や、会社が会社都合での退職を認めない場合は、パワハラをされた証拠が重要です。したがって、退職前からパワハラの証拠集めをしておきます。

  • 録音データ
  • 写真や動画
  • メールやSNS
  • 業務日報や日記
  • 2人以上の同僚による証言
  • 医師の診断書

また、うつ病などに罹った場合は、医師から診断書をもらいます。診断書がなく自己診断では、うつ病と認められないので、注意してください。

パワハラで退職したあとにすべき3つのこと

やっと仕事をやめられて、一安心。パワハラから開放されると、一気に気が抜けてしまうかもしれません。しかし、退職後に忘れてはいけないことが2つあります。

  1. 離職票の退職理由を確認
  2. 失業保険の申請
  3. 転職エージェントに登録

この3つは忘れずに行いましょう。

1.離職票の退職理由を確認

離職票が手元に届いたら、必ず退職理由を確認しましょう。「自己都合」になっているかもしれません。

そもそも離職票は、会社側がハローワークに手続きすることで発行できる書類です。そのため、会社が虚偽の申請をしてしまえば、自己都合に変えられてしまう可能性があります。

なお、離職票の手続きができるのは、退職の翌日から10日以内。企業がハローワークに手続きをしたあと、発行された書類が届くので、やめてから2週間ほどかかります。つまり、退職する時点で離職票の確認はできません。

パワハラでやめざるを得なかったにもかかわらず、自己都合退職にされていないか、必ずチェックしましょう。

2.失業保険の申請

離職票が手元に届いたら、失業保険の申請を忘れずに。会社都合退職の場合、ハローワークで手続きをした日から8日目以降に失業保険の受給対象になります。

手続きが遅れるとその分だけ受給開始日が遅れます。次の仕事が決まらないまま退職する方は、離職票が届き次第ハローワークに向かいましょう。

3.転職エージェントに登録

会社を辞めたばかりで大変かもしれませんが、転職エージェントに登録しましょう

失業保険などを受給できても、可能であれば少しでも早く仕事を見つけたいと思いますよね。焦りは禁物です。

複数の転職エージェントに登録して、自分にあったエージェントを選びましょう。本当にしたい仕事や、最低限の条件などを伝えてくださいね。

パワハラで退職が難しいなら退職代行を利用しよう

パワハラが原因の場合、退職する意思を伝えても、暴力を振るわれないか不安に感じるかもしれません。また、会社によっては退職さえ認められなくて悩んでいる方もいるでしょう。

そんな人におすすめなのが、退職代行サービスです。理由は、退職代行を利用すれば、上司や同僚に会わずに退職できるからです。

退職届の提出や会社に残した荷物のやり取りは郵送で可能。

また、退職代行を使えばほぼ100%退職できますなぜなら、あなたの代わりに退職代行が会社に退職の意志を伝えてくれるからです。

さらに、労働組合や弁護士事務所が運営している退職代行を利用すれば、未払いの残業代などの交渉も行えます。

未払いの残業代がある場合や有給を使い切りたい場合でも、会社と交渉できるので、より良い条件で退職できますね。

パワハラで辞める時の退職届は会社都合と書こう

繰り返しになりますが、パワハラで辞める時の退職届には「会社都合」と書くようにしましょう。

会社に自己都合退職として受理されると、失業保険の受給が遅れたり、裁判で不利になったりする可能性があります。

証拠を残すようにしましょう。

万が一、嫌がらせで自己都合退職でしか退職を認めないと言われたら、最寄りのハローワークに相談してくださいね。

自分1人で退職するのが困難な場合は、退職代行サービスを利用しましょう。あなたは十分に頑張ったので、1人で我慢しないでください。

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