即日退職は法律上可能?損害賠償を請求される可能性や安全に辞める方法を解説

「今すぐにでも仕事を辞めたい…」
「即日退職は法律上可能なの?」
「即日退職に損害賠償のリスクがあるのか知りたい!」

と考えていませんか?

上司からのパワハラや残業時間の長期化などにより、仕事を今すぐにでも辞めたい方も多いと思います。大きなストレスから一刻も早く解放されたいですよね。

即日退職はしたいものの、法律上可能なのか気になる方も多いはず。損害賠償を請求される危険性がないのか気になるところですよね。

そこでこの記事では、

  • 即日退職が認められる条件
  • 損害賠償請求される可能性

などを解説します。

安全かつ確実に辞める方法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

即日退職は可能?法律上の決まりを雇用形態別に解説

即日退職が可能かどうかは、雇用形態によって見解が異なります。こちらでは、以下4つの雇用形態に分けて、即日退職の可否や方法を紹介します。

  1. 正社員
  2. 契約社員
  3. 派遣社員
  4. パート・アルバイト

順番にみていきましょう。

1.正社員

正社員は、即日退職が難しくなっています。民法第627条には、退職日の2週間前に辞めることを伝えなければいけないと定められているためです。つまり、退職を申し出ても、2週間は勤務先に在籍しなければならないということです。

どうしても出社したくない場合は、有給を使用したり、欠勤扱いにしたりする方法があります。しかし、引継ぎや人人の補充などの理由により、基本的には出社がもとめられるでしょう。

2.契約社員

契約社員は、即日退職が認められないケースが多めです。雇用期間が定められている場合は、契約満了までは退職が認められないためです。

ただし、特定の条件を満たす場合は、即日退職が認められる場合があります。主に、以下の通りです。

「やむを得ない理由」は、体調不良や親の介護などが挙げられます。

3.派遣社員

派遣社員は、即日退職が難しい傾向にあります。契約期間を決められることが多く、原則期間を終了しないと退職dけいないためです。

ただし、契約社員と同様、1年以上働いていたり、やむを得ない理由があったりすれば、即日退職が認められます

4.パート・アルバイト

パート・アルバイトは、雇用期間の有無によって見解が異なります。

雇用期間が定められていない場合は、正社員と同様、2週間前に退職の意志を伝えなければなりません

一方、雇用期間が決まっている場合は、契約期間中に退職することは難しいです。ただし、1年以上勤務している、やむを得ない理由があるなどの条件に当てはまれば、即日退職できます。

即日退職が認められる2つの条件

即日退職が認められるためには、以下2つの条件を満たしている必要があります。

  1. 企業との合意が得られている
  2. 有給休暇が最低2週間分以上残っている

順番に解説します。

1.企業との合意が得られている

即日退職が認められるためには、企業との合意が得られている必要があります。

法律上では「申し出から14日間は退職できない」とされていますが、その理由は企業が後任への引継ぎと人材を確保するための猶予を取るためです。

企業との合意が取れれば、翌日から出勤する必要が無くなります。

ただし先述した「14日間は退職できない」ルールがあるため、あくまで出社しなくていいだけ。企業に籍は残っている状態です。

2.有給休暇が最低2週間分以上残っている

退職を申し出た日から2週間の間は、有給休暇を消化して退職日を迎えます。企業側が有給消化を承諾すれば、退職日まで出社することなく労働契約の解除が可能です。

とはいえ5日間を超える有給消化は法的に義務ではないため、大半のケースでは企業側が承諾してくれません。

そこで労働組合や弁護士が対応する退職代行サービスを利用すれば、有給消化の交渉をしてくれます。

退職により損害賠償の請求が認められた3つの事例

過去には退職によって裁判を起こされた事例がいくつかあります。

ここからは参考までに、退職がきっかけで損害賠償の請求が認められた事例を3つ紹介します。

  1. ケイズインターナショナル事件
  2. ラクソン事件
  3. 長谷工コーポレーション事件

順番にみていきましょう。

1.ケイズインターナショナル事件

「ケイズインターナショナル事件」では社員の退職により利益を失ったために、損害賠償の支払いが発生した事例です。

【事件概要】

  • 案件を履行するために雇った社員が入社してから1週間足らずで病気になり、退職してしまう
  • 社員退職をきっかけに契約していた案件が破棄となり、見込んでいた利益1,000万円を失ってしまう
  • 退職した従業員は企業に損害賠償として200万円を支払うことを合意
  • 従業員からの支払いが一向に無かったため企業側が提訴、結果70万円の支払いが認められた

こちらの事件では企業が従業員の退職と生じた損失額の因果関係を証明できたために、支払いが認められたと考えられます。

2.ラクソン事件

「ラクソン事件」は退職の際に他の従業員の引き抜きを行ったことで、損害賠償が認められた事例です。

【事件概要】

  • 取締役の立場にあった社員が企業の経営方針に不満があったことを機に退職を決意
  • 転職先に自身の部下を引き抜く計画を画策し、対象となる社員に“慰安旅行”と称してともに退職することを説得
  • 従業員を引き抜かれたことで企業は大きな損失を被ることに
  • 裁判の結果、請求額1億円に対して870万円の支払いが認められた

従業員には転職の自由が認められているため、本来であれば損害賠償は認められません。

しかし本ケースでは従業員引き抜きにより損失をもたらすことを理解した上で行っていたため、損害賠償が認められたと考えられます。

3.長谷工コーポレーション事件

「長谷工コーポレーション事件」では社内の留学制度の利用から2年5ヶ月後に退職した従業員に対して、留学時に掛かった費用の返還が認められた事例です。

損害賠償とはやや異なりますが、企業への支払い義務が発生した事例として紹介します。

【事件概要】

  • 企業が設けた留学制度を利用して社員が海外の大学院へ留学
  • 留学直前、社員は企業に「帰国から一定期間内に退職した場合は費用を返還する」誓約書を提出していた
  • 帰国してから2年5ヶ月後に退職、企業は留学にかかった費用の返還を提訴
  • 退職にあたってやむを得ない事情が無いわけではないことから、企業の請求が認められる

こちらの事件の論点は企業の留学費用が“金銭消費貸借契約”にあたるかどうかでした。

裁判では金銭消費貸借契約にあたると判断されたために、従業員の費用返還が認められた事例です。

即日退職で損害賠償を請求される5つの可能性

退職代行を利用しても損害賠償を請求されるケースは少ないですが、決してゼロではありません。

中でも、即日退職を良く思わない企業も多く、場合によっては請求される可能性も。以下の5つのケースは注意が必要です。

  1. 雇用期間中に問題行動を起こしている
  2. 有期雇用中である
  3. 従業員の退職による損失の因果関係を明示できている
  4. 在職中に他の従業員の引き抜きを行った場合
  5. 会社の経費による研修等を終えた直後の退職

それぞれ詳しく解説します。

1.雇用期間中に問題行動を起こしている

雇用期間中の問題行動がきっかけで損失を出している場合は、退職代行サービスを利用しても損害賠償を請求されるリスクがあります。

企業に損失を与えていて、さらにその因果関係を証明されると損害賠償を請求されるかもしれません。

退職自体の損失は少なくても、大きなミスやトラブルを起こしていると会社に与える影響は大きいです。

その状態で退職代行を利用すると、上司に悪い印象を与えて損害賠償につながるケースも。

雇用期間中に問題行動を起こしてしまった場合は、ご自身で弁護士を雇って対処する必要があるので注意してください。

2.有期雇用中である

有期雇用の場合は、原則として契約期間中の退職ができないため、契約不履行として損害賠償を請求される可能性があります。

有期雇用中の労働者が雇用契約を解除するための条件は以下の2つです。

  • 企業側と退職について合意が取れている
  • ハラスメント・家庭の事情・体調不良など「やむを得ない事由」がある

上記に該当する事由が無い場合は、退職代行サービスを利用したとしても損害賠償を請求されるかもしれません。

3.従業員の退職による損失の因果関係を明示できている

退職による損失の因果関係を明示出来ている場合は、損害賠償を請求される可能性があります。

先述で取り上げたケイズインターナショナル事件がこちらに該当します。

とはいえ、実際に因果関係を証明できる企業はごく稀です。よほど大きな額でないと見合わないため、訴訟リスクはかなり低いでしょう。

そのため、あまり気にせず退職手続きを進めて問題ありません。心配な方は、企業と交渉をできる労働組合運営の業者や、弁護士事務所が運営の退職代行を利用しましょう。

4.在職中に他の従業員の引き抜きを行った場合

先述で取り上げたラクソン事件のように、在職中に他の従業員の引き抜きを行った場合も損害賠償の対象になる可能性があります。

これは、従業員だけでなく引き抜き先の企業が損害賠償を請求されるケースもあるでしょう。しかし、自分が引き抜かれるように動いてしまうと、支払いが命じられる恐れも。

特に同業他社への引き抜きは、元の企業の利益に影響しやすいため、損害賠償のリスクが上がるでしょう。

無用なトラブルを避けるためにも、元居た企業からご自身の転職先への引き抜き行為は控えるのがおすすめです。

5.会社の経費による研修等を終えた直後の退職

損害賠償ではありませんが、会社の経費による研修を終えた後に退職した場合は、それにかかった費用の返金を求められるケースもあります。

先述した長谷工コーポレーション事件では、海外の大学院留学に掛かった費用の返還が認められた事例が該当します。

企業の経費で研修を受けるのであれば当面はそこでの業務を全うする、それが難しそうであればそもそも支給を受けない、などの対策が必要です。

即日退職するなら退職代行サービスがおすすめ!

即日退職するなら、退職代行サービスの利用がおすすめです。退職代行とは、利用者の代わりに退職の意志を伝えてくれるサービスです。

利用するメリットは、安全に即日退職できること。退職代行を実行してもらったその日から、出社する必要はありません有休を消化したい旨も勤務先に伝えてくれます。

また、依頼者と会社との間に退職代行業者が入ることで、引き止めに合うケースが少ないです。退職を申し出ているのになかなか辞められずに悩んでいる方も、ぜひ利用を検討してみてください。

退職代行サービスを使って勤務先を辞めるまでの具体例な流れは、関連記事「退職代行の流れを8ステップで解説!依頼前に確認しておきたい5つのポイントとは?」にて解説しています。利用のイメージが掴めるので、ぜひ参考にしてみてください。

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退職代行サービスによる即日退職で損害賠償請求を避ける2つの方法

退職代行の利用による損害賠償の請求は過去に事例が無いものの、低確率ながら可能性はあります。

そこで、万が一損害賠償を請求された場合に備えて、支払いを避ける方法を2つ紹介します。

  1. 弁護士によるサービスを利用する
  2. 慰謝料請求という名目で逆訴訟をチラつかせる

この2つを実施すれば、損害賠償は概ね避けられるはずです。

1.弁護士によるサービスを利用する

損害賠償を請求されるリスクは低いものの、不安がある方は弁護士による退職代行を利用しましょう。

退職代行で多いのが労働組合や弁護士監修の下で運営している民間企業ですが、これらでは損害賠償の訴訟に対応できません。

訴訟問題については、弁護士のみが対応可能です。弁護士に依頼すれば仮に訴訟が来たとしても、適切に対処してくれるため、万が一の損害賠償請求に対しても安心できます。

ただし、在職中に起こした問題については退職代行サービスの範囲外になるため、注意が必要です。

2.慰謝料請求という名目で逆訴訟をチラつかせる

もしあなたの退職理由が、セクハラ・パワハラなどが原因の場合は、慰謝料請求という名目での提訴をチラつかせてみるのも一つの手です。

企業側にとって裁判を行うのは非常に労力がかかるため避けたいもの。

損害賠償を訴えられそうになった時に「じゃあ退職のきっかけはあなた(企業)からのハラスメントなので、慰謝料としてこちらも訴えますね」と仕掛ければ、訴えを退ける可能性は十分にあります。

なおこの時、ハラスメントを受けた証拠も用意しておくのがベスト。

こちらから訴訟をチラつかせるだけでも、企業からの損害賠償請求は避けられるでしょう。

とはいえ、証拠が認められなければ多くのお金を支払う必要がありますし、裁判に労力がかかるのでできるだけ穏便に退職するのがおすすめです。

退職代行で損害賠償請求の心配はいらない!即日退職も可能

退職代行による即日退職では、損害賠償を請求されるケースはほぼ無いため、心配する必要はありません。

とはいえ、退職がきっかけで損害賠償を請求された事例は過去にいくつかあります。その事例に該当するような退職をしてしまうと、退職代行を利用しても損害賠償を請求されるかもしれません。

どうしても退職後の損害賠償が怖いのであれば、弁護士事務所が提供している退職代行がおすすめです。退職代行サービスの運営形態の中で唯一、弁護士事務所が訴訟問題に対応しているため、損害賠償に怯えることなく利用できます。

また、有給消化などの交渉は労働組合運営の退職代行でも可能です。まずは気になるサービスに相談してみてください。

どのサービスを選べばいいかわからないという方は、以下のおすすめランキングをご覧ください!30種類のサービスを比較しているので、自分にぴったりな退職代行が見つかりますよ。

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