「有給を使える方法を知りたい」
「有給を使い切って退職したいのに会社が認めてくれない」
などの悩みを持っていませんか?
実際に、多くの方が上司に断られそうで怖いと感じています。有給を使い切って退職するためにはどうすれば良いのか悩んでいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、
- 有給を使い切る方法
- 有給についての基礎知識
- 使い切る3つのポイント
などについて解説します。
この記事を読めば、有給を使い切って退職できる可能性が高くなるので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
退職時に有給を使い切るのは当然の権利
退職時に有給を使い切るのは当然の権利! 以下の条件を満たした場合、年間最大20日分の有給休暇が付与されます。
- 入社から6か月間継続して勤務している
- 労働日のうち8割以上出勤している
年間に付与される有給日数は以下の表の通りです。
勤続年数 | 年間に付与される有給休暇日数 |
6か月 | 10日 |
1年6か月 | 11日 |
2年6か月 | 12日 |
3年6か月 | 14日 |
4年6か月 | 16日 |
5年6か月 | 18日 |
6年6か月 | 20日 |
ただし、長期間働き続けている方かつ有給を一度も使っていない場合でも、取得可能な日数は最大40日までと決められています。
アルバイトやパートタイマーも対象ですが、労働時間が短ければ、付与日数は減るので注意してくださいね!
会社は労働者に対して有給を行使させなければならない
有給は上司や社長からの承認がなければ、使えないと思っていませんか? 実は、会社は労働者に対して有給を使わせなければならないと法律で決まっているので、拒否できません。
拒否した場合、6か月以下、30万円以下の罰金が課されます。
さらに、2019年に労働基準法が改正されました。改正後の労働基準法では、労働者が有給を10日以上付与された場合、最低5日間は取得させなければならなくなりました。
そのため、法律改正前よりは、有給を使いやすくなったといえます。
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
(出典:労働基準法第39条7号)
有給を理由にクビや損害賠償請求されるケースは多くない
有給を使おうとしたら、クビや損害賠償請求をすると脅されないか不安に感じる方もいます。ただ、このような行為は、労働基準法違反です。
労働者を訴える時間や訴訟費用を用意する時間ももったいないので、訴訟にまで発展するケースはほとんどありません。
第百三十六条 使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
(出典:労働基準法附則第136条)
必要以上にクビや損害賠償請求を恐れる必要はないので、安心してくださいね!
退職間際にまとめて有給を使い切るのも可能
在職中に有給を1回も使えない場合は、退職間際にまとめて有給を使い切ることが可能です。
筆者も、以前勤務していた会社で在職中に1日も有給が使えませんでしたが、以下のようなスケジュールで使い切ったことがあります。
- 前年11月頃に退職の意思を伝える
- 1月31日が最後の出勤日
- 2月1日〜3月7日までを有給消化期間に充てる
- 3月7日が退職日になる
なお、退職日までの期間よりも有給の日数が多く残っているケースもあるでしょう。その場合、会社側で使いきれなかった有給休暇の買取りをしてもらえる可能性はあります。
ただ、あくまでも善意なので、買取りの費用が安くなる可能性もあります。余裕を持って退職日を伝えてください。
多くの会社では有給取得率が低いのが現状
日本では有給休暇を100%使い切っている方は少ないのが現状です。
令和2年厚生労働省就労条件総合調査によれば、有給の平均付与日数は18日ありましたが、実際の取得した日数は10.1日。
つまり、平均有給取得率は56.3%です。業界別に見ると、小売業(39.9%)、宿泊・飲食サービス業(41.2%)などの有給取得率が低いことがわかります。
また、労働者が少ない会社(300人未満)の有給取得率は、300人以上の労働者が在籍する会社よりも明らかに取得率が低下していました。
厚生労働省のデータからもわかる通り、日本人の有給取得率は低いといえるのではないでしょうか?
有給を使い切る方法を解説!
有給を使い切って退職したくても、方法がわからず悩んでいる方も多いでしょう。まだ、全ての有給を使い切っていない場合は、以下の手順通りに進めます。
- 残っている有給日数と行使する日を決める
- 有給の意思表示を行う
- 会社が法律を無視する場合は労働基準監督署への相談も検討する
順番にくわしく解説するので、ぜひ参考にしてみてください!
1.残っている有給日数と行使する日を決める
最初に、現在付与された有給日数を確認してください。確認方法は3つあります。
- 給料明細
- 勤怠管理のシステム
- 人事や総務へ問い合わせる
なお、有給を取得する際には2つ注意点があります。
- 有給取得中に新たに有給が付与されても使える
- 就業義務のない休日は有給にできない
有給消化中に新たな有給が付与された場合、その有給も忘れずに取得してください。
また、有給は就業義務のない休日には使えません。たとえば、日曜日が休みの場合には、月曜日〜土曜日しか有給に含められないので注意しましょう。
そして、就業規則で、退職届けの申請期限を確認してください。多くの会社では、退職したい日の1か月〜2か月前までに申し伝える必要があります。
退職日は、有給を使い切った次の出勤日に設定します。
2.有給の意思表示を行う
有給を使い切って退職する場合、退職届と年次有給休暇の取得願いを一緒に提出します。退職届も一緒に提出することで、会社側は有給休暇の取得を拒否できなくなります。
会社が退職さえ認めないケースもありますが、ご安心ください。労働者には退職をする自由があり、法律上の手段で退職届を出せば問題ありません。
集配を扱っている大きな郵便局から、配達証明付きの内容証明郵便を会社に出してください。書面には以下の内容を記載します。
- 退職日
- 退職事由(一身上の都合で構わない)
- 年次有給休暇を使う日程
裁判までされても内容証明郵便を出しておけば、労働者側に有利に働くでしょう。

3.会社が法律を無視する場合は労働基準監督署への相談も検討する
有給取得意向を会社がまったく取り合わない場合は、労働基準監督署へ相談しましょう。無料で相談でき、会社への指導や是正勧告を行ってくれます。
また、上司に対して、労働基準監督署の名前を出せば態度が変わるかもしれません。
有給休暇消滅の仕組みとは
実は、有給休暇は付与された日から2年間使わなければ、自動的に消滅します。
たとえば、勤続年数が5年、1日も有給を使ったことがない労働者の有給日数を計算してみましょう。
5年間勤務した労働者が、入社後に付与された有給休暇の日数は63日。
しかし、有給には消滅期限があるため、残っている有給日数は30日(3年6か月と4年6か月の時点で付与された有給)のみです。
有給を使わずに消滅させるのは、もったいないことなので、忘れずに行使したいですね!
有給を使い切る3つのポイント
有給を使いたくても、上司が一切認めてくれずに困っている方も多いでしょう。ただ、せめて退職時には有給を使い切りたいですよね?
そこで、有給を使い切るポイントを3つまとめてみました!
- まとめて使わない
- 上司に伝えるときはやんわりと伝える
- 退職時に使い切りたい場合は引き継ぎも考える
ぜひ参考にしてみてくださいね!
1.まとめて使わない
有給はまとめて使わないでください。有給の取得を後回しにすると、使い切れずに消滅する可能性が高くなるからです。特に、有給の期間が長期化するほど、認められる可能性は低くなります。
なぜなら、有給で長期間休んだ場合、会社の業務に与える影響が大きくなるから。そのため、有給はまとめて使わず1か月に1回ぐらいのペースで申請するのをおすすめします。
忙しくない時期であれば業務への影響も少ないので、多少期間が長くても取得しやすくなります。
2.上司に伝えるときはやんわりと伝える
有給休暇を使う場合、ほぼ間違いなく上司に使う理由を聞かれます。ただ、有給の目的には制約はありません。
「彼女と旅行に行きたい」「家族サービスをしたい」などの目的でも使えます。
とはいえ、私用の理由を伝えても納得しない上司がほとんどです。私用目的でも有給を使うためには、法律で有給の取得を拒否できないことを匂わせつつ、やんわりと伝えるようにしましょう。
上司も人間です。あまりにも強い態度で有給を求めた場合、一切認めてくれなくなるかもしれません。上司の言い分も聞きながら、こちらの主張も伝えてください。
3.退職時に使い切りたい場合は引き継ぎも考える
有給を使い切って退職したい場合は、引き継ぎについても考えなければなりません。ろくに引き継ぎをせずに退職をした場合、後任の担当者への負担が増えます。
また、転職先でも悪い評判が立つ可能性があります。
そのため、有給が多く残っている場合は、退職日を早めに伝えましょう。さらに、引き継ぎにかかる時間も想定しておきます。
自分が引き継ぎを受けた際にかかった期間や仕事に慣れるまでの時間を考えた上で、退職日を決定してください。
有給消化の取得率が低い3つの理由
日本の有給取得率の平均は56.3%しかありません。会社は、有給の取得を拒否できない法律もあるのに、なぜ有給取得率が改善しないのでしょうか?
有給取得率が低い理由としては、以下の3つが考えられます。
- 会社が有給の時季変更権を行使したから
- 上司に理由をつけられて断られたから
- ほかの方に迷惑がかかると考えるから
詳しく見てみましょう。
1.会社が有給の時季変更権を行使したから
有給休暇の行使は労働者の正当な権利ですが、労働者の要望にすべて応えると、会社の業務に支障が出かねません。
労働基準法第39条では、会社側に業務上止むを得ない事情があった場合、有給を行使する時季を変更できると定めています。
たとえば、年末年始の繁忙期に有給を取得したいと伝えても、会社側は取得する時季を変えて欲しいと言われるケースがほとんどです。
とはいえ、会社側は単に人手不足だからという理由だけでは、時季変更権を行使できません。
西日本ジェイアールバス事件(平成10年3月16日名古屋高裁判決)の判決では、代わりに出勤する社員を確保する努力を怠った場合は、時季変更権を行使できないと判断されました。
退職時についても、退職予定日までの期間よりも有給日数が多く残っているケースもあります。時季変更権を理由に拒否できれば、有給自体が消化できなくなるので、断るのは不可能です。
2.上司に理由をつけられて断られたから
有給を取得できない代表的な理由は上司に断られること。以下のようなもっともらしい理由で、有給を使わせない上司も多くいます。
- プライベート目的では有給は認められない
- 成果を出していない方には有給を与えない
- 同僚が有給を取得していないから、あなたも我慢しなさい
有給を行使したい気持ちがあっても、上司が取り合ってくれなければ、どうしようもできないと諦めた方も多いのではないでしょうか?
しかし、有給は労働者の正当な権利なので、会社側は拒否できません。また、嘘の理由で有給を取得しても、会社から訴えられるリスクはほとんどないでしょう。
昭和48年の白石営林署事件では、有給の利用目的について問われたことがありますが、休暇の利用目的は労働者の自由という判例が出ています。
年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨であると解するのが相当である。
(出典:最高裁判所判例集)
この判例からも、有給の目的を理由に断っても、会社側の言い分が通る可能性は低いでしょう。
3.ほかの方に迷惑がかかると考えるから
有給を取得した場合、あなたが休んでいる間の仕事を誰かが代わりにやらなければなりません。そのため、人手が足りないのに、自分だけ有給を取得したら迷惑がかかると考える方も多くいます。
しかし、人員不足や業務量が多いことは、あなたの責任ではありません。なぜなら、あなたの権限でできることは限られているからです。有給はチャンスがあるときに取りましょう!
退職代行を利用すれば、有給取得しての退職がかんたんにできる
労働者には、付与された有給休暇を使う権利があります。さらに、有給の申し出を断った会社は罰則の対象になります。
ただ、上司に有給を使い切って退職する旨を伝えるのが難しい場合は、退職代行を利用してみてはどうでしょうか?
労働組合や弁護士事務所が運営している退職代行を利用すれば、有給消化の交渉も行います。会社側も、労働組合や弁護士と争っても勝てる見込みが少ないので、有給もきちんと使い切れるでしょう。
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