「管理職になれたけど辞めたい」
「トラブルなく管理職を辞める方法を知りたい」
管理職に昇進したものの、辞めたいと考え始めている人もいるのではないでしょうか?
とはいえ、平社員よりも責任が重く、多くの方はなかなか辞める決心がつかないでしょう。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 管理職を辞めにくい理由
- 管理職を辞めたいときの対処法
- 管理職を辞めるときの注意点
記事後半では、管理職を辞めるときのポイントも解説するので、不安なく退職をできるようになります。 ぜひ、参考にしてみてください。
管理職を辞めたい5つの理由

まずは、なぜ自身が管理職を辞めたいのか把握しておきましょう。
管理職が辞めたいと考える理由は、主に5つあります。
- 上司と部下の板挟み状態になっている
- 責任が重すぎる
- やるべき業務が多すぎる
- 激務の割に給与が低い
- 相談相手がいない
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
1.上司と部下の板挟み状態になっている
管理職は、上司と部下の板挟みになりやすいため、ストレスを感じる立場です。
すなわち、上司と部下それぞれの言い分を理解した上で適切な対応をする必要があります。
上司と部下で主張があまりにも異なる場面が多すぎる場合、そのたびに両者から責められるため、ストレスを感じて辞めたくなる人は多くいます。
2.責任が重すぎる
管理職の責任が重すぎる点にストレスを抱えて辞めたいと考える人もいます。
管理職になると、自分の判断が会社に与える影響は大きくなります。最悪のケースでは、たった1つの失敗で業績が悪化して倒産につながるかもしれません。
また、平社員と違って、自分が失敗をしても上司がリカバリーをできないケースもあるので、責任の重さに耐えられなくなる人は多くいます。
3.やるべき業務が多すぎる
管理職になると、やるべき業務が一気に増えます。
たとえば、平社員の営業マンであれば、自身のノルマや目標を達成していれば上司から怒られるケースは少ないでしょう。
しかし、管理職になると自身の目標達成だけでなく、以下のような業務も行わなければなりません。
- 部下に指導してノルマを達成させる
- 部長や社長に説明をする
- 取引先との接待への参加
- 労務環境やセキュリティ対策などの改善
- 適切な人材の配置
つまり、自身の営業に集中していれば問題なかった平社員とは異なり、多種多様の業務を抱えながら目標を達成する必要があります。 加えて、未経験の業務も増えるので、その分労働時間が長くなる可能性もあります。
4.激務の割に給与が低い
管理職は激務の割に給与が低いといわれています。
その原因は、労働基準法第41条2項にあるように、管理職には残業代や休日出勤の給与が支給されなくなるからです。
第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。 二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者 出典:労働基準法第41条2項|e-Gov
もちろん、管理職になれば基本給は上がります。しかし、基本給の昇給額が少ない場合、平社員の方が給与が高くなる可能性は十分あります。
仮に給与が上がっても、平社員よりも激務になれば割に合わないと感じるでしょう。
5.相談相手がいない
管理職には、平社員のように必ず直属の上司や先輩がいるわけではありません。特に部長や専務など上の役職に昇進するほどこの傾向は強くなります。
競争意識の強い会社で働いている場合、気軽に相談できる相手を見つけにくいので、自分一人で問題を解決する必要があります。 そのため、精神的なストレスから辞めたいと考える人も少なくありません。
管理職を辞めにくい3つの理由

平社員と比べると管理職はなかなかすぐに辞めにくい立場です。
管理職が辞めにくい理由を3つ紹介します。
- 自身の責任感の強さ
- 年収が高い
- 普通の社員より引き止めに遭う可能性がある
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
1.自身の責任感の強さ
管理職になると自身が抱える責任も重くなります。
責任感も増して、途中で辞める=会社や業務からの逃げと捉えられるのではないかと考える人も少なくありません。 そのような後ろめたさと「なんとしてでも自身の業務を全うしたい」といった気持ちがあるので、辞められないと考えている人は多くいます。
2.年収が高い
管理職になると年収が高くなります。入ってくる収入が増えた結果、欲しいものを買ったり高級レストランで食事を取るようになったりと支出レベルを上げる人は少なくありません。
しかし、生活費を上げすぎた場合、管理職を辞めたくても辞められないでしょう。なぜなら、辞めた後に収入が高いかつ管理職での転職ができるとは限らないからです。
3.普通の社員より引き止めに遭う可能性がある
管理職は、上司(部長や専務など)もしくは社長から認められなければなれない立場です。
あなたが優秀な管理職だった場合、上司や社長はなんとかして考えを改めてくれないかと強く引き止めようとしてくるでしょう。 引き止めの強さは平社員の比ではありません。
あの手この手で強く引き止められると、申し訳ない気持ちが湧き上がってきて、辞められない人も多くいます。
管理職を辞めたいときの対処法7選

管理職を辞めたいと思ったら、これから紹介するいずれかの方法で対処する必要があります。
- 自分の思考を整理する
- 働き方を変えてみる
- 他社への転職を検討する
- スキルを身につける
- 休日にリフレッシュする
- 降格願いを提出する
- 部下を育てる
それぞれの対処法について詳しく見ていきましょう。
1.自分の思考を整理する
管理職を辞めたいと考えるときは、多くの人が現状にストレスを感じているのではないでしょうか? このような場合に勢いだけで辞める決断をするのはおすすめできません。
自分の辞めたい理由が何なのか、どうなれば辞めずに済みそうなのかよく考えてみましょう。 また、紙やブログで書けば、内に秘めている気持ちを外に出せるのでストレスを減らせます。
2.働き方を変えてみる
管理職の業務に負担を感じている場合、何でも一人で完結させようとしているのかもしれません。 一人で抱え込むと業務を片付けるのに多くの時間がかかるため、休みにくくなります。
そこで、部下や周りの人にも仕事を割り振る点を意識してみましょう。自分一人ではなくほかの人にも業務をしてもらえれば、やらなければならない業務により集中できます。
自身の成果を出しやすくなるだけでなく、組織全体の成長にもつながるでしょう。
3.他社への転職を検討する
社長がワンマンなど自身の要望を聞いてもらえない可能性が高い環境で働いているのであれば、他社への転職を検討しましょう。
たとえば、人員不足などが原因で、明らかに自身しかできない業務を多く割り振られるケースです。 現在の会社を退職すれば、今と同じくらいの条件で効率的に働ける転職先が見つかるかもしれません。
管理職ともなれば、マネジメントスキルの高さを求める企業は多くあるので、転職活動で苦労する可能性は低いでしょう。
4.スキルを身につける
管理職になると、これまで経験したことのない業務も増えてきます。
時間がかかる業務がある場合は、以下のようなスキルを身につけてみてはどうでしょうか?
技術的なスキル | マネジメント能力や人事評価のスキルなど |
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対人関係の構築能力 | コミュニケーション能力やコーチング能力 |
本質を見極める能力 | 課題の解決方法や適切な目標設定の方法 |
スキルを身につければ業務の負担を減らせる可能性があります。
5.休日にリフレッシュする
ストレスにより管理職を辞めたいと考えている人もいるかもしれません。その場合、休日にリフレッシュをするだけで、ストレスを解消できる可能性があります。
散歩に行く、運動をする、読書をするなどさまざまな方法があるので、リフレッシュをしてストレスが解消できるのか判断しましょう。
6.降格願いを提出する
今の会社に居続けたいけど、管理職は向いていないと考えている人は、降格願いを提出するのも1つの手段です。 管理職から降格を願い出た場合、自分の仕事に集中さえすれば問題ありません。
ただし、降格願い=期待を裏切る行為と捉えられる可能性があります。特に、部長や社長などがあなたを管理職へ昇格させようと奮闘していた場合は、その人たちの思いを踏みにじってしまうでしょう。
加えて、今後やりがいのある仕事を任せてもらえなくなるかもしれません。 降格願いを提出するかは慎重に考えるべきです。
7.部下を育てる
管理職の業務量に不満がある場合は、部下を育てて自分の仕事を一部任せる方法もあります。 そのためには、部下と積極的にコミュニケーションをして、成果を出せるような環境を作る必要があります。
すぐに業務の負担が軽くなるとは限りませんが、うまくいけば自身のマネジメントスキルもアップするので社内での評価も高くなるでしょう。
管理職を辞めるときの注意点

管理職を辞めるときは、以下の点に注意しましょう。
- 有給休暇や退職手続きに関して確認しておく
- 収入が大幅に減る可能性がある
- できるだけ円満退職できる方法を考える
順番に解説します。
1.有給休暇や退職手続きに関して確認しておく
管理職の場合、平社員やアルバイトの人とは、有給休暇や退職手続きのルールが異なる可能性があります。 特に有給休暇については、管理職であっても認められます。
なお、退職金は請求できるケースもありますが、残業代は労働基準法により支給されないケースが一般的なので注意が必要です。
2.収入が大幅に減る可能性がある
管理職の場合、平社員が退職するよりも収入の減少額が大きくなります。 そのため、退職をする前から数ヶ月働かなくても生活できる費用は確保しておきましょう。
3.できるだけ円満退職できる方法を考える
管理職は会社の中でも重要なポジションに該当するため、ケースによっては損害賠償請求をされる可能性があります。
たとえば部下を引き抜いて独立をしたり業務上の秘密にすべき情報を餌に他社へ転職したりしたときに、損害賠償されるケースは珍しくありません。 会社に与える損害額が大きければ、損害賠償請求をされるリスクもあるので、なるべく円満に退職しましょう。
管理職を辞めるときのポイント

管理職を辞めるときのポイントは以下の通りです。
- 余裕を持って退職日を伝える
- 退職理由をよく考える
- 引き継ぎをきちんと行う
- 転職活動の計画を立てる
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.余裕を持って退職日を伝える
会社にとって経営に大きな影響を与える管理職が辞める事態はなるべくなら避けたいものです。 そのため、繁忙期や大事なプロジェクトを控えている時期に辞めるといわれても困ります。
また、平社員とは異なり求められるスキルも高くなるので、求職者を見つけるのにも時間がかかるでしょう。 管理職が退職を伝えるタイミングは、平社員やアルバイトと同じく辞める2週間前までです。
しかし、経営に与える影響を考えると、就業規則に書かれているタイミング(退職日の1ヶ月前までなど)で伝えた方が辞めやすいでしょう。
2.退職理由をよく考える
管理職とはいえ、転職をするのであれば退職理由はよく考えておきましょう。なぜなら、転職先でも同じように辞めたくなったのでは精神的に苦しくなるからです。
転職先を見つける上でも退職理由は面接で必ず聞かれるので、辞める前に明確にしておきましょう。
3.引き継ぎをきちんと行う
引き継ぎについては退職後のトラブル防止はもちろん、会社へ迷惑をかけないためにもきちんと行いましょう。
担当している顧客がある場合は後任者を紹介しておけば、スムーズに移行できます。 そして、業務の種類も多いので、マニュアルなどを作っておきましょう。
4.転職活動の計画を立てる
平社員が辞めた場合とは異なり、転職先でも同様に管理職での採用を考えている企業が多くなります。
また、選考対策はもちろんより条件が良く働きやすい会社を見つける必要があります。 非公開求人を多数抱えている転職エージェントなどを活かして、転職を成功させましょう。
管理職を辞めたい場合は降格願いや転職をしよう

管理職が会社を辞める場合は、平社員とは異なる点も多いので注意が必要です。平社員よりも経営に与える影響が大きいため、退職方法を誤ると損害賠償請求をされるリスクも高くなります。
また、今の会社に残る前提であれば降格願い、辞めたい場合は転職を検討しましょう。どちらの選択肢を選んでも後悔しないように慎重に考える必要があります。