「もうすぐ育休が明けるけれども、職場に戻るのが難しそう」
「復帰する気持ちで育休に入ったけれど、心境が変わってしまった」
「辞めるといいたいけれども、いつ伝えよう」
育休が明ける時期になると、職場復帰を考え始めなければいけません。しかし、想像より育児が大変だったり、予定していた環境と変わってしまったりして、退職したほうが良いのではないかと感じ始めているのではないでしょうか?
しかし、温かく送り出されて育休に入ったのに、退職を切り出すのは勇気がいるものです。迷惑をかけてしまうし言い出せないと悩んでいる方もいるでしょう。
そこでこの記事では、育休明けの退職について、以下の内容を解説します。
- 退職を選ぶ人の理由
- 会社に辞めると言うタイミング
- 育休明けに辞めるリスク
この記事を読めば、育休明けに退職することに関する疑問が解決できるはずです。職場復帰が難しく悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
育休明けに1ヶ月で退職することは可能
実は、育休明けに復職できず、そのまま退職している方もいます。
厚生労働省が発表した「令和3年度雇用均等基本調査」では、男性の2.5%、女性の6.9%は育休終了後にそのまま退職しているというになりました。平成30年度の同調査に比べて数値は改善しているものの、未だにそのまま退職する人もいるという状況です。
子育てが始まってから、予想外の変化があり復職が難しくなった方もいます。
- 保育園が見つからなかった
- 直前に配偶者の転勤が決まって働きながらの子育てが難しくなった
など、やむを得ない事情がある場合も考えられ、全員が復職するのは難しいでしょう。
そのため、予定外のことが起こり、退職してしまうというのは、十分に考えられます。実際に退職を選んだ方もいるので、そのまま辞めることも可能です。
育休明けに退職を選ぶ5つの理由
育休明けに退職を選ぶ方には、以下のような理由があります。
- 保育園が見つからない
- 子どもに健康上の問題がある
- 心境が変わった
- 職場の理解がなかった
- 出産を理由に部署異動されていた
これらの理由で悩んでいるのであれば、会社をやめるのも選択肢に入るでしょう。
1. 保育園が見つからない
保育園がどうしても見つからず、退職を余儀なくされる方もいます。
2022年4月1日時点での待機児童数は2,690名。この保護者の方たちは預け先がなく、そのまま職場に復帰できていないと考えられます。
保育園が見つからない場合、育休制度を延長することも可能です。しかし、それでも見つからない場合や、職場や家の近くの保育園に入れなかった場合は、育児と仕事の両立ができず、辞めざるを得ないと考える方もいるでしょう。
2. 子どもに健康上の問題がある
子どもに健康上の問題が見つかった場合も、職場復帰できないことがあります。
身体が弱く体調を壊しがちな乳幼児がいれば、仕事中の呼び出しも増えるもの。預け先がさらに見つからなくなってしまうこともあります。定期的な通院が必須な子どもの場合も、復帰は難しくなるでしょう。
また、出産を機に母親のほうが体調をケースもあり得ます。産休に入る前のように働けなくなってしまった場合、退職を考えるのも納得です。
3. 心境が変わった
子育てをしてみてから、やはり子どものそばにいたいと心境が変わる方もいるでしょう。
子どもの成長を見届けられる期間は長くありません。育休をとって待ってもらった職場への申し訳なさはあったとしても、やはり子どものそばにいたいと感じる方もいます。
第一子の場合、育児を始めてからどのような心境になるか想像するのは難しいものです。子どもと仕事の優先順位が変わってしまうのは、やむを得ないことなのかもしれません。
4. 職場の理解がなかった
育休明けに復帰してみたものの、職場の理解が足りずにすぐ退職する方もいます。子どものお迎えの時間までに帰ることや、保育園からの呼び出しで職場を抜けざるを得ないことに対して理解がなければ、仕事は続けられません。
子育て中の時短勤務制度があったとしても、働くメンバーのフォローは必須。理解のない職場で働き続けることに居心地の悪さを感じ、復帰後すぐに辞めてしまう方もいます。
5. 出産を理由に部署異動されていた
育休後は、休みを取る前と同じ仕事に原則復帰するルールになっています。しかし、いざ復帰してみたら部署異動をされていたというケースもあるようです。
本人の合意なしに部署異動されていた場合、転職して前と仕事ができる会社を探したいと思うのも当然のこと。営業で結果を出してきて自信があるのに内勤になってしまったり、開発をやりたくて研究職についていたのに関係ない職種になってしまったりした場合、退職を考えるのも無理はありません。
育休明けの退職はいつ言うべき?3つのタイミング別のメリットデメリット
育休明けに復帰は難しいと感じた場合、いつ退職を切り出すのが良いのでしょうか?一般的に以下の3つのタイミングで相談することが多いようです。
- 育休の途中
- 育休が明けるタイミング
- 職場復帰して少したってから
どのタイミングでも、メリット・デメリットがあります。それぞれ紹介するので、退職を考え始めた方は参考にしてください。
育休の途中
会社に相談するときに最も気まずさを感じずに済むタイミングは、育休の途中で退職を決意した時点です。育休明けに戻れなくなってしまったと打ち明ければ、誠実な印象を与えます。
ただし、育休の途中で退職を申し出ると、育児休業給付金の支給が打ち切られるので要注意です。今までもらっていた給付金がもらえなくなる上に、社会保険料の支払いも始まってしまいます。
もし育休の途中で退職を申し出る場合は、退職日に要注意。給付金は日割りでもらえないため、辞める日にちによっては1ヶ月分もらいそこねてしまいます。
育休をスタートした日付が各月の申請日になるとおぼえておきましょう。
もし2月5日から育休に入った場合、各月の5日に申請することになります。そのため、退職日が4日だった場合、1ヶ月分手当がもらえません。退職する場合は、退職日を調整できないか相談してみると良いでしょう。
育休が開けるタイミング
育休が明けるタイミングまで待ち、そのまま辞めるならば、手当をすべてもらえます。ただし、復帰する前提で人事を組んでいた会社や、あなたをフォローしてくれていた同僚に迷惑をかけてしまうので、基本的には推奨しません。
ギリギリまで粘ったけれども保育園が見つからなかったなど、なぜその時期まで退職を決めることが出来なかったのか会社に説明する必要があります。育休明けまで退職を決断できなかった事情がない限り、避けたほうが良いでしょう。
職場復帰して少したってから
復職してみたものの、続けられないと判断して退職する方もいます。また、育休明けにそのまま辞めるのは気まずいからと、1ヶ月だけ復帰してやめようと考える方もいるようです。
ただし、1ヶ月だけ居場所を用意してすぐに辞められてしまうのは、会社としては困るもの。育休後に辞める場合は半年〜1年程度は働くという暗黙のルールがある、という方もいます。
復帰してすぐの頃は、子育てと仕事の両立に慣れず辛く感じるかもしれませんが、可能であれば半年程度は続けてから辞めたほうが角が立ちにくいでしょう。
とはいえ、育児との両立の難しさは復帰してみないとわかりません。仕事をしてみてどうしても続けられなそうだと感じたならば、正直に伝えて退職する選択肢もありえます。
退職する前提で育休を取得するのはNG
育休を取得中に退職を考えざるを得ない状況に変わることは、十分考えられます。しかし、もともと復帰するつもりはないまま、退職を決意している状態で育休を取得してはいけません。
そもそも育休は元いた会社に復帰する前提で受けられる給付制度です。退職を確定させているのに育休を貰う場合、不正受給に当たります。もし、復帰する意思が最初からなかったことがわかれば、給付金の返還を求められたり、処分を受けたりするリスクもあります。
そのため、会社に戻る気がない状態で育休を取得するのは絶対に避けましょう。
なお、復帰する予定がやむを得ない事情で難しくなってしまったならば、給付金を返還する必要はありません。復帰しなければ育休が必ず取り上げられるというものではないのでご安心ください。
育休明けに円満退職をする5つのコツ
育休明けに円満退職するためには、主に以下5つのコツがあります。
- 退職する1~2ヶ月までに申し出る
- ポジティブな退職理由を伝える
- 引き継ぎ業務を徹底する
- 繁忙期に退職するのは避ける
- 退職して後悔しないか考える
1. 退職する1~2ヶ月までに申し出る
育休明けで退職する場合は、早めに申し出ることをおすすめします。目安として、1~2ヶ月前には直属の上司に伝えるのが好ましいです。
会社側は、育休後の復帰に更けて人員の配置や業務内容の調整などをおこなっています。そのため、退職直前に申し出ると、迷惑をかけてしまうことになります。
円満に退職するためには、1~2ヶ月前に相談しましょう。
2. ポジティブな退職理由を伝える
直属の上司に退職理由を聞かれた際には、ポジティブなものを伝えましょう。たとえば、以下のとおりです。
- 新しいことにチャレンジしたい
- 育児に専念したい
- 〇〇に興味を持ったので転職したい
退職したい理由が「残業が多い」「上司と馬が合わない」などのネガティブなものの場合、そのまま伝えるのは好ましくありません。会社に否定的なことを伝えると、印象が悪くなり退職しにくくなります。
3. 引き継ぎ業務を徹底する
育休明けに退職する際には、引き継ぎ業務に力を入れましょう。引き継ぎが不十分だと、後任に迷惑をかけたり、退職後に「これってどうだっけ?」と連絡が入ったりする恐れがあります。
具体的な引き継ぎとして、以下の内容をおこないます。
- 業務内容をノートにまとめる
- 引き継ぎのための時間を設けてレクチャーする
- 手順書を作成する
退職した後、周囲が働きやすいように配慮することが大切です。
4. 繁忙期に退職するのは避ける
退職するタイミングは、繁忙期を避けるのが好ましいです。周囲がバタバタしているなかで退職を伝えると、後回しにされたり、嫌な顔をされたりする可能性があります。
また、繁忙期では、引き継ぎが十分におこなえません。結果、円満退職からは遠ざかってしまうでしょう。
繁忙期はできるだけ避けて、周囲に余裕があるタイミングで退職する必要があります。
5. 退職して後悔しないか考える
円満退職をするには、周囲だけでなく自分の気持ちも重視する必要があります。そのため「退職してもこうかいしないのか」を考えましょう。
特に、長年勤務し続けてきた方は注意が必要です。積み上げきたキャリアを手放すことになるため、退職してもよいのかを考えます。
育休明けに退職する3つのリスクと注意点
やむを得ない事情で育休明けに退職する場合、知っておきたい注意点もあります。育休明けに退職することによる注意点・リスクは以下のとおりです。
- 次の仕事が見つかりにくくなる
- 時短勤務をしてから辞めると失業手当がすくなくなる
- 入園予定の保育園に入れなくなる
知らずに辞めてしまい、後悔してもどうすることも出来ません。あらかじめそれぞれを頭に入れておきましょう。
1. 次の仕事が見つかりにくくなる
育休明けに仕事を辞め、転職する場合は次の仕事が見つかりにくくなるのがデメリットです。
小さい子どもがいる場合、業務に支障をきたすのではないかと面接官に懸念材料を与えてしまいます。もともと子持ちに優しい職場であれば問題ありませんが、そのような企業の倍率は高いのも事実です。
さらに、時短勤務などの制度は、入社後一定期間たっている社員だけに認めている会社もあります。転職したての子どもが一番小さい時期にフルタイムで働かなければいけないのはリスクです。
また、転職活動をするタイミングで保育園を探す場合、なかなか入園できない可能性もあります。すでに共働きをしている家庭のほうが優先順位が上がるためです。
転職活動は子どもの預け先が見つかったタイミングで行う必要があり、採用のハードルが高くなるため独身の中途採用者より多くの企業を受けなければいけない点は、しっかり把握しておきましょう。
2. 時短勤務をしてから辞めると失業手当がすくなくなる
育休明けに時短勤務をしてから辞めると、失業手当の支給額が減る可能性がある点に要注意です。
失業手当の金額は、直近6ヶ月の給与額を元に算出されます。そのため、時短勤務で給与が減った状態から辞めてしまうと、支給額は少なめになるのがデメリット。
一方で、時短勤務をすることなく育休中にやめた場合は、育休に入る前6ヶ月の給与を元に支給額が算出されます。そのため、この環境では続けられないと思うならば、早めにやめたほうが失業手当の金額が高くなります。
3. 入園予定の保育園に入れなくなる
入園先が決まっていたタイミングで退職し、転職活動を始める場合、保育園の内定が取り消されたり、退園になったりする事例もあるようです。
休職中で保育園に預けられる期間には期限があり、その期間中に転職先が見つからなければ退園措置を取られることもあります。特に保育園の入園が激戦区の地域の場合、今現在の状況を把握して、申込時と勤務時間や就労状況が異なれば、内定を取り消すケースも。
自治体により判断は異なりますが、育休中に保育園が決まっていた場合は要注意です。お住まいの自治体の担当者に確認しておいたほうが良いでしょう。
育休明けの退職が言い出しにくいなら退職代行も検討しよう
育休は、職場復帰を前提とした制度であり、退職するのは気が引けるもの。しかし、事情によりやむを得ず退職せざるを得ないという方もいるでしょう。
もし育休明けの退職が認めてもらえず、そもそも話を聞いてもらえないままあしらわれてしまうならば、退職代行を検討しても良いでしょう。
退職代行はあなたの代わりに、退職の意志を会社に伝えてくれるサービスです。依頼後は家で待つだけで退職が完了し、その間の会社のやり取りはすべておまかせできます。
育休をとったことを理由に、辞めることを認めてくれない会社ならば、話し合いは難航するでしょう。第三者を間に入れることで、スムーズに退職が進むかもしれません。
うまく会社を辞められないならば、退職代行を活用することをおすすめします。