育休明けの退職はいつ言うべき?ベストタイミングや伝え方を徹底解説

「育休明けの退職っていつ言うべきなんだろう?」
「育休明けに退職するって気まずいな…」

雇用する会社は、育児休暇後に復帰すると考えています。そんななかで、あなたが育休明けに急に退職をすると伝えれば、困惑されるかもしれません。

とはいえ、いつ辞める旨を伝えればよいのか、注意すべき点があるのか気になっている人も多いでしょう。

そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。

  • 育休明けに退職する場合いつ言うべきか?
  • 適切な伝え方
  • 育休中に退職する場合の注意点

この記事を読めば、育休明けや育休中に円満退職しやすくなる方法がわかります。 育休中で退職しようかどうか悩んでいる人は、ぜひ、参考にしてみてください。

目次

育休明けの退職については就業規則に従うのが無難

厚生労働省の令和3年度雇用均等基本調査(事業所調査)によると、以下のような結果が出ています。

令和2年4月1日から令和3年3月 31 日までの1年間に育児休業を終了し、復職予定であった女性のうち、実際に復職した者の割合は 93.1%(平成 30 年度 89.5%)、退職した者の割合は 6.9%(同 10.5%)であった。男性については復職した者の割合は 97.5% (同 95.0%)、退職した者の割合は 2.5%(同 5.0%)であった(表8,付属統計表第 11表)。 出典:厚生労働省

したがって、育休明けに退職するのは問題ありません。

そして、法律上は、退職したい日の2週間前までに伝えれば問題ありません。育休中に辞めたいという意思を伝えれば、育休明けに出勤することなく退職できます。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 出典:e-Gov

しかし、育休明けに円満退職をしたいと考えている場合は、就業規則(多くの企業が退職日の1〜2ヶ月前に設定している)に従うのが無難です。 なぜなら、あなたが退職をすると会社が代わりの人を採用する必要がありますが、2週間で見つけるのは難しいからです。

なお、辞めるタイミングが育休中と育休明けではそれぞれメリットが異なります。

育休中に辞める場合は、復帰予定を考慮した上で十分な余裕をもって伝えることで、会社への迷惑を最小限に抑えられます。「育休中に退職を申し出て申し訳ない」という気持ちも、少しは楽になるのではないでしょうか。

一方で、育休明けに辞める場合は、直後に辞めさえしなければ、会社は復帰の意思があったことを認めてくれるでしょう。

また、育児休業給付金を満額受け取れるため、金銭的な不安もせずにすみます。 ご自身の状況をよく考えた上で、どちらのタイミングで退職するのか決めましょう。

育休明けに退職する場合の適切な伝え方

雇用する会社側の立場で考えてみると、あなたが退職する意思を伝えずに育休に入った場合、育休明けもきっと貢献してくれるはずだと考えています。

育休中に心変わりして育休明けに退職する場合、適切な伝え方をしなければ、印象の悪い辞め方になりかねません。 そこで、育休明けに円満退職するための適切な伝え方について解説します。

退職理由は一身上の都合で良い

育休明けに退職する場合の退職理由は、一身上の都合で問題ないため、退職届にもその旨を記載しましょう。

また、しつこく聞かれた場合も「育児に専念したい」「預け先が見つからないので仕事との両立が難しい」といった理由を伝えれば納得してもらいやすいでしょう。

誠意をもってお詫びをする

やむを得ず辞めなければならない正当な理由があったとしても、上司に退職の意思を伝えるときは、誠意を持ってお詫びをしましょう。

お詫びと言っても難しくはなく「突然辞めることになって申し訳ない」「会社に迷惑をかけて申し訳ない」といったように伝えれば、多くの上司は納得してくれます。

お詫びの言葉があるかないかで、辞めた後の印象も大きく変わるので注意しておきましょう。

直接会社へ行って口頭で伝える

あなたが辞めると、会社は代わりの人を採用したり育成したりする必要があるため、できれば退職して欲しくないと考えているでしょう。 よって、辞める場合は、直接会社へ行って上司に口頭で伝えましょう。

近年、退職の意思をメールやLINEで済ませる人も増えていますが、まだまだ一般的には悪い印象を持たれる方法です。 「時間を取るのが面倒」「会社に行くのが嫌」と考える人もいるかもしれませんが、円満に退職をするために会社へ行って伝えましょう。

育休明けに退職を検討する人が多い理由

多くの人は、子ども(直近の)を妊娠した時点では、引き続き働きたいと考えています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した平成30年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業の労働力調査を見ても、証明されています。 以下の表は末子の妊娠がわかった当時の就労希望状況です。

属性 同じ会社かつ同じ仕事内容で働き続けたいと考えていた人の割合
男性・正社員 77.7%
女性・正社員 74.3%
女性・非正社員 70.0%

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング

男女ともに、同じ会社かつ同じ仕事内容で働き続けたいと考えていた人の割合は70%以上ですが、一方で3割近い人は退職を考えています。 では、なぜ育休明けに退職を検討している人が多いのでしょうか?

  1. 自身や生まれた子どもの健康状態に不安がある
  2. 子どもの預け先が見つからない
  3. 夫の転勤により引っ越しせざるを得ない
  4. 復職後の部署が自分の希望と違う

順番に見ていきましょう。

1.自身や生まれた子どもの健康状態に不安がある

自身や生まれた子どもの健康状態に不安がでてきたために、退職したいと考える人がいます。「体調が悪いのに無理して働いて会社に迷惑がかかる」「子どもが元気かどうか気になって仕事に集中できない」と不安を抱えている人は多いのではないでしょうか?

特に自身はまだしも、生まれたばかりの赤ちゃんの免疫力は高くありません。そのため、結婚を機に退職したいと考える人が多いのでしょう。

2.子どもの預け先が見つからない

ときどき、SNSでは「子どもを保育園に預けたいのに希望者が多すぎて無理」といった投稿をしている人がいます。 保育園で難しい場合は、ファミリー・サポート・センターやベビーシッター、両親などに預かってもらうしかありません。

ただ、そういったサービスあるいは両親も子どもを預かれないケースは普通にあります。 子どもを放置したまま働くわけにはいかないため、意欲はあってもやむを得ず退職するケースは珍しくありません。

3.夫の転勤により引っ越しせざるを得ない

夫の転勤により引っ越しせざるを得ない場合は、物理的に退職せざるを得なくなります。 また、夫が単身赴任する場合も、退職せざるを得なくなる可能性があります。

なぜなら、預け先が見つからない場合は、自分が育児にすべての時間を費やさなければならず、会社との両立が難しくなるからです。

4.復職後の部署が自分の希望と違う

妊娠した時点で復職したいと考えている人の多くは、同じ部署や業務で働き続けたい意向があります。 そのため、自分の希望と違う部署でしか復職できないケースでは、退職を検討する人もいます。

このように考える人が多い理由は、育児と両立しなければならない関係上、これまで経験がない業務を覚える余裕がないからです。

育休中に退職する際の注意点

育休明けではなく、育休中に退職したいと考えている人もいるかもしれません。 そこで、育休中に退職する際の注意点について紹介します。

  1. 育児休業給付金や保険料の免除がなくなる
  2. 退職日によっては育児休業給付金を1ヶ月分受け取れない
  3. 有給も消化する
  4. 転職活動をする場合は子どもの預け先を決める必要がある
  5. 基本的には少しでも働いてから退職するのが良い
  6. 転職をする際に時短勤務や休暇がすぐに付与されない
  7. 転職をしても保育園の入所が難しくなる可能性がある

順番に見ていきましょう。

1.育児休業給付金や保険料の免除がなくなる

育休中に退職した場合、育児休業給付金の受給や社会保険料の免除がなくなるので注意が必要です。 育児休業給付金は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です。

よって、育休中に退職した場合は、受け取れる給付金が減ってしまう可能性があります。 加えて、育休に入る前から退職を予定していた場合も、受給の対象外です。

社会保険は会社に雇用されている人のみが利用できる制度です。退職をすると社会保険の対象から外れるため、配偶者の扶養に入るか国民健康保険および国民年金に加入する必要があります。

国民年金は、第1号被保険者になれば出産予定日か出産月の前月から4ヶ月の産前産後期間の保険料が免除されるものの、国民健康保険には免除制度がないので注意しましょう。

2.退職日によっては育児休業給付金を1ヶ月分受け取れない

やむを得ない理由から育休中に退職した場合であっても、育児休業給付金の返還は求められません。 ただし、育児休業給付金には育休開始日から1ヶ月ごとに支給単位期間が設定されています。

そのため、退職した日次第では、1ヶ月分の給付金を受給できないケースもあるので注意しなければなりません。 たとえば、育休開始日が9月10日の場合の支給単位期間は、以下のように設定されます。

  • 9月10日〜10月9日
  • 10月10日〜11月9日
  • 11月10日〜12月9日

育児休業給付金は、退職日から数えて最後の支給単位期間分の給付金を受け取れます。 11月7日に退職した場合は、最後の支給単位期間に該当する10月10日〜11月9日の支給単位期間の給付金は受け取れません。

一方で、退職日を11月9日にした場合は、10月10日〜11月9日の支給単位期間の給付金を受け取れます。 その理由は、11月9日が支給単位期間の最終日だからです。

よって11月7日や8日を退職日にするよりも、1ヵ月分多く給付金を受け取れます。

3.有給も消化する

法律上、退職後に有給休暇の消化はできません。よって、有給が残っている場合は、最終出社日の前後に有給休暇を消化する必要があります。

一部、有給を使わせようとしない会社も存在しますが、労働基準法第39条違反に該当します。

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。 出典:e-Gov

そのため、上司に退職の意思だけでなく有給休暇が何日残っているのかも確認した上で、その希望を伝えましょう。

4.転職活動をする場合は子どもの預け先を決める必要がある

退職をして違う会社で働く場合は、転職活動をするときに子どもを預ける保育園や施設を決めておく必要があります。 育児との両立を考慮すると、長い期間の転職活動は負担になるため、先に準備を整えてから辞めましょう。

5.基本的には少しでも働いてから退職するのが良い

育休とは育休が明けたら仕事に復帰する前提があるので、育休明け直後に辞められるのは、雇う側からするとデメリットしかありません。

そのため、可能であれば、育休明けすぐの退職はおすすめしません。 少しの期間働いた上で、退職を検討しましょう。

6.転職をする際に時短勤務や休暇がすぐに付与されない

育休明け後に転職をして時短勤務制度(子どもが3歳になるまで勤務時間を短くできる)を利用したい人も多いでしょう。しかし、入社後1年未満の従業員については、時短勤務制度の対象外になる会社も多くあります。

また有給休暇についても半年以上働かなければ付与されません。 そのため、転職先で時短勤務を利用できるのかを確認した上で、判断しましょう。

7.転職をしても保育園の入所が難しくなる可能性がある

保育園の入園が決まっても、転職した結果、入所が難しくなる可能性があるので注意が必要です。 たとえば、入園を申し込んだときに働いていた会社よりも勤務時間や日数が短くなると、ほかの希望者よりも優先順位を下げられます。

このような事態を避けるためには、保育園の入所基準を事前に確認しておきましょう。

育休明けに退職をしても問題はない

育休明けに退職をしても問題はありません。 とはいえ、雇用主の会社は育休から復帰後も働いてくれると考えているため、適切な方法で退職しなければなりません。

また、子どもの預け先の選定や転職先の育児支援制度が自身にも適用されるかの確認はしておく必要があります。

さらに、育休中に退職をしなければならなくなった場合は、保険料・年金の支払いや育児休業給付金の受給額を確認した上で、どうするか決めなければなりません。 育休明けや育休中に退職をしたい場合は、そうでないときとは異なる点も多いので、注意しましょう。

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