うつ病と診断される精神状態であれば、肉体的にも会社に出勤し続けるのは難しい状況でしょう。
しかし、会社によってはすぐに辞めるのが難しいと感じるかもしれません。ですが、会社を辞められないという事は法律上あり得ないため、しっかりとした手順を踏めば問題なく辞める事が可能です。
今回はトラブルなくスムーズに会社を退職する方法を解説します。
うつ病の診断を受ければ即日退職も可能
うつ病の診断書があれば会社に伝えてスムーズに理解を得る事が可能です。仕事を続けるのが難しい事が伝われば、即日退職も可能でしょう。
しかし、中には理解してくれない上司のいる会社である場合も多いです。そういう時は労働基準監督署へ診断を受けていると相談しましょう。
診断書があれば公的な支援を利用できる
うつ病の診断書があれば利用できる経済的なサポートや離職支援があります。
具体的には、精神障害者福祉支援手帳によりその等級に合ったサービスを受けられたり、ハローワークや求人サイトでも専門援助分があり、障害や疾患のある人を対象にした求人の紹介なども行っています。
診断書があるとすぐに失業手当を受給する事も可能
また、本来自己都合で退職すると待機期間の7日間と給付制限の90日間と3ヶ月以上の間、失業手当を受け取る事が出来ません。
しかし診断書があれば「特定理由資格者」に該当するので給付制限がありません。待機期間の7日後には受給できるので、ハローワークへ診断書を持参して相談してみましょう。
休職という選択肢もある
診断書をもらった場合は上司に相談して退職願いを申し出て、厳しければ休職という選択肢もあります。休職する場合は病気などで休職する際に利用できる「傷病手当金の申請」をしましょう。休職中の生活を経済面で保障する制度で、最長1年半受給する事が可能です。
傷病手当や失業手当といった給付金の申請は一人で行うのはとても大変です。書類に不備があるだけで満額もらえないことも起こります。
このようなときに役に立つのが「社会保険給付金サポート」あなたが最大限給付金がもらえるようにサポートしていただけますよ。
退職は2週間後からと法律では定められている
もしも契約社員などで雇用期間の定めがある場合を除き、雇用期間の定めがない場合には退職を申し入れた2週間後には原則辞める事が可能です。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
(民法627条1項)
法律上は問題なく辞められるので、損害賠償を請求されるなどのリスクもありません。社員が退職して会社側が社員に損害賠償を請求して、不当訴訟で逆に賠償金を会社が支払ったケースなどもあるので、会社側も社員に一々訴訟を求めるようなリスクは取れないのです。
ただし、もしもあなたにしか出来ない仕事を会社から任されていて、その仕事が頓挫すれば得られたはずの明確な利益が損失してしまった、という場合は会社側は社員に対して損害賠償を請求する事が可能です。
(プロシード元従業員事件横浜地裁平29.3.30判決労働判例1159号 5頁)
参考:https://www.roudoumondai.com/blog/damages-to-employees
退職を伝えてから2週間無断欠勤するとどうなる?
「退職を伝えてから2週間、会社に行かなければそのまま辞めれるのでは?」
と考える方もいるかもしれませんが、結論として無断欠勤は辞めておいた方が良いです。過去には無断欠勤により損害賠償を請求されたケースも存在します。
無断欠勤は債務不履行に当たります。もしもそれにより会社側に損害があれば、会社は債務不履行に基づく損害賠償請求(民法415条)をする事が可能です。
実際、期間に定めのない社員が雇用から数日で辞職の意思表示をし、出勤しなかった事による債務不履行により会社側が損害賠償を請求した裁判例があります。辞職の効果が生ずるまでの期間,労働者が労務提供を怠ったことが雇用契約上の債務不履行であるとして,損害賠償義務を負うことを判示した裁判例があります。
ケイズインターナショナル事件東京地裁平4. 9.30判決 労働判例616号10頁
参考:https://www.roudoumondai.com/precedent/ks-international-case
こちら側が不利にならないためにも、しっかりとした手順を踏んで退職しましょう。
退職を伝えたその日から会社に行かずに辞める方法
とはいえ、中には
「上司に伝えても即日退職は厳しそう」
「明日からもう会社に行きたくない、というかこんな状態じゃ行けない…」
という人もいるでしょう。そんな場合に即日辞める方法を紹介します。
2週間有給消化で休む
退職の意思を伝えてから2週間で辞める際に、無断欠勤ではなく有給消化を使って2週間出勤扱いにすれば、辞める事が可能です。
たとえ会社から拒否されても書類を申請すれば法律上会社側は拒否出来ないので、退職届と一緒にしっかりと書面を提出して辞めましょう。
ただ、さすがに引き継ぎが必要な仕事を任されていたのにいきなり辞める事は、会社側も損害を被る可能性があるので、しっかりと引き継ぎをしたうえで辞めましょう。
傷病欠勤にする
うつ病の診断書があれば傷病欠勤扱いにする事が可能です。ですので、診断書を貰ったその日から傷病欠勤にしてもらい、退職届を提出して2週間で辞めれば法律上問題なく辞める事が可能です。
今すぐにでも退職したい時の具体的なステップ
法律上問題なく辞めるための具体的なステップを記します。
締結した雇用契約を確認する
まずは自分と会社が締結した雇用契約の形態を確認しておきましょう。もしも期間に定めがあっていきなり辞めた場合は、契約違反となるので損害賠償の請求をされる可能性がありますが、診断書があれば辞める事は可能です。
そしてその辺を知ってるか知らないかで会社側の反応も変わってきます。会社からすると会社側の都合を全く無視して身勝手に辞められるというのは抵抗があるので、そこを考慮したうえでそれでも辞めたいと伝えれば、会社側も納得する可能性が高くなります。
引き継ぎを確認する
引き継ぎが必要な場合は最低限引き継ぎをしたうえで辞めましょう。もしもすぐにでも辞めたい場合は業務引継書を作成して提出しましょう。最低限自分が辞めても債務不履行にはならない状態にしておく事で、損害賠償請求される事もなくなります。
2週間以降に退職日を決め、退職届を提出
問題なく退職できる事を確認したら、2週間以降を退職日に決めた退職届を提出しましょう。即日辞めたい場合はこの時に有給申請をして2週間有給で休むようにするか、診断書を用いて傷病欠勤扱いにしてもらうように会社に交渉しましょう。
上司と話が通じない時は・・・
診断書を用いて法律上問題ない手続きで退職を申し出たとしても、上司によっては全く取り合ってもらえない場合もあるでしょう。そういった場合は退職届などの提出を内容証明郵便で郵送し、提出した証拠を残して法律上問題なく辞める事も一つの手です。
どうしても辞められない時は
ただ、無理矢理辞めた場合、損害賠償請求などをされるリスクが無いかなど心配になると思います。そういった場合の手段として、「退職代行サービスを利用する」というのも有効な手段です。
辞めさせてくれない上司は、基本的に部下を舐めていて言うことを聞かせようとしてくる場合が多いです。だからこそ、第三者機関から退職を伝えてもらう事でスムーズに辞めさせてもらう事が出来ます。実際、「退職代行SARABA」では8000件以上退職させた実績があり、なかなか辞めさせてくれなかった会社でもあっさりと辞めさせてくれるケースがほとんどです。
また、無理矢理辞めようとした場合有休消化の申請などがしづらく、泣く泣く有給を使わず辞めてしまうケースも多いですが、「退職代行SARABA」は労働組合が運営しているので、そうした有休消化や退職日の調整などの交渉が可能なため、有休を貰いながら即日辞めるという事も容易です。
さらに、うつ病の診断書がある場合は、雇用期間に定めがある場合でも問題なく辞める事が可能です。
まとめ|うつ病の場合即日退職が容易に!
うつ病の診断書があれば、退職するうえでも休職するうえでもスムーズに手続きを行う事が出来ます。
ただ、うつ病に対して理解のない会社であれば、診断書があっても無視してくる可能性も高いので、そういう場合は退職代行サービスを利用する事で何の問題もなく辞める事が可能です。
その際に問題がなかった場合は、会社からの連絡を全て無視して辞めても大丈夫です。
うつ病は進行すれば自ら命を絶ってしまうかもしれません。身体にも様々な影響が出て、仕事をする事がより難しくなってしまいます。
自分の人生が潰れてしまうような会社であれば、今すぐにでも辞めるべきです。何よりも自分の事を優先しましょう。