「ADHDで会社に迷惑をかけているのがつらい」
「退職したいけど、どうしていいのか分からない」
「自分に向いている仕事なんてあるのかな…」
このような悩みをお持ちの方はいませんか?
ADHDは、発達障害の一種で、大人になってから発覚するケースも多いです。なかなか周囲の理解を得にくい点が問題点で、生きづらさをを抱えている方もいるでしょう。そこで、本記事では、以下の内容について解説します。
- ADHDの人が退職を考える理由
- 退職する方法と注意点
- 退職を検討する前にやるべきこと
- 向いている仕事・向いていない仕事
- ADHDの長所
本記事を読めば、ADHDの長所を活かして前向きに過ごせる方法が分かります。ADHDで退職を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
ADHDは発達障害の一種
ADHDとは、発達障害の一種で、日本語では「注意欠如多動性障害」と言います。不注意や多動傾向があるのが特徴で、職場や日常生活でミスやトラブルを起こす可能性が高いです。具体的な症状は、以下のとおりです。
- ケアレスミスが多い
- 片付けが苦手でよく物をなくす
- 人との約束を忘れがち
- 思ったことをすぐ口に出す
- 順番が待てないなど
ADHDの原因は解明されておらず、現在、根本的な治療方法はありません。そのため、職場や日常生活で少しでも過ごしやすくするためには、ミスをしないように自分で工夫するのが大切です。さらに、周囲の理解や協力も必要だと言えます。
ADHDの人が退職を考える理由8選
ADHDの人が退職を考える理由は、以下の8つです。
- 職場の人間関係が良くない
- 整理整頓が苦手
- ケアレスミスが多い
- スケジュール管理が苦手
- 集中力が続かない
- 興味のない仕事はできない
- ADHDを隠して働くのがつらい
- 精神疾患になってしまった
自分に当てはまる原因があるかどうか、チェックしてみてください。
1. 職場の人間関係が良くない
ADHDは、周囲に理解してもらえない場合が多く、職場の人間環境で悩む人はいます。ADHDは「何度注意しても同じミスをする」「スケジュール管理ができない」などが顕著なので、単純に仕事ができない人と思われがちです。
さらに注意力散漫や、やる気にムラがあるなどの理由で、円滑なコミュニケーションを図るのが難しい傾向にあります。そのため、良好な人間関係を築けずに孤立してしまい、退職を考える人が多いです。
2. 整理整頓が苦手
ADHDは多動傾向があり、書類や道具などの整理整頓が苦手だと言えます。理由は、1つの作業中に他のことに気を取られてしまいがちだからです。例えば作業中の書類作成が終わっていないのに、他の仕事を始めてしまいます。
そのため、気づいたときには、最初に手を付けていた書類がどこにあるのかわからなくなります。整理整頓ができないと、大事な書類をなくすなどの可能性が高いです。会社に迷惑がかかるのはもちろん、自身の信用も失うため、居心地が悪くなり退職を考えます。
3. ケアレスミスが多い
ADHDの人は、ケアレスミスが非常に多い傾向にあります。例えば、マニュアルをよく読まない・確認しないで仕事をするなどです。他の人が間違いに気づき、後からミスが発覚するケースもよく見られます。ケアレスミスは、仕事ができない人と思われやすいです。
またADHDは、目先のことに気を取られがちなため、忘れ物が多い傾向もあります。忘れ物をすると、仕事内容やスケジュールなどに影響が出る可能性が高く、周囲への罪悪感を感じて、辞めたいと考えます。
4. スケジュール管理が苦手
ADHDの人は、スケジュール管理や調整が苦手です。衝動性が強く、自分の感覚で動くため、物事を効率良く進められないからです。自分の不注意でスケジュールを忘れたり、時間の見積もりができなかったりする傾向も見られます。
また、物事の優先順位が組み立てられないため、タスク管理も苦手です。例えば、作業中に新しい仕事を依頼されたとします。普通の人であれば、作業内容や納期を確認して、優先順位を付けるでしょう。
しかしADHDの場合は、優先順位を考えずにすぐに新しい仕事に取り掛かるため、作業中の仕事を放棄したり忘れたりしがちです。
5. 集中力が続かない
ADHDは気が散りやすく、集中力が続きにくい傾向にあります。例えば、他の人に話しかけられたり、違う業務の話しをされたりすると、プツンと集中力が切れてしまうのです。今、自分がやるべきタスクに集中できなくなるため、1つの仕事を終わらせるのに時間がかかります。
特に繁忙期などは社員全員で集中して仕事を終わらせなければならない場合もあるでしょう。そこで、1人だけダラダラとやっている人がいると、社内の雰囲気はピリピリします。
6. 興味のない仕事はできない
ADHDは、興味のないことには一切関心を示しません。一方で、興味のあることに対しての執着心はすごく、集中力を発揮します。しかし、会社で働く以上、好き嫌いで仕事は選べないため、時にはやりたくない業務も行う必要があります。
ADHDの人は、興味がない仕事を先延ばしにしがちです。納期を破るケースも多く、上司や先輩に怒られる人もいますが「自分のやりたくない仕事はしたくない」と感じ、退職を考えます。
7. ADHDを隠して働くのがつらい
ADHDの中には、自分が障害者であることを隠しながら働いている人もいます。ADHDは、一見健常者となんの変わりがないため、周囲の理解が得にくい発達障害です。例えば、ケアレスミスなどは、健常者でもする人はいます。
そのため、単純に「仕事ができない人」「だらしない人」と思われがちです。また、障害を告白して、上司や同僚との信頼関係が崩れてしまう可能性もゼロではありません。「人間関係維持のためにADHDを隠しているが、仕事ができない人と思われるのが耐えられない」と、退職を考える人もいます。
8. 精神疾患になってしまった
ADHDは、人間関係や仕事のミスなどが原因で、うつ病などの精神疾患になりやすいです。業務上のストレスや人間関係の悪化などで、精神疾患を引き起こす状況を「二次障害」と言います。
精神疾患は、回復に時間がかかる可能性が高いです。ADHDに加えて精神疾患にもかかると、復帰を諦めてしまう人は多いでしょう。
ADHDの人が退職する方法と注意点
退職を決断したら、上司に報告します。しかし、退職するためにはさまざまな手続きが必要です。また、ADHDは周囲の印象が悪い場合が多いため、退職までの手順を慎重に行わないと、トラブルを引き起こす可能性があります。
少しでも円満に退職するために、一般的な流れと注意点を理解しておきましょう。
一般的な退職の流れ
一般的な退職の流れは、以下のとおりです。
- 退職の意向を上司に申し出る
- 退職届や退職願を提出する
- 業務の引継ぎを行う
- あいさつ回りと私物整理をする
退職は希望日の3ヶ月〜1ヶ月前までに申し出ましょう。法律では退職の2週間前までに申し出れば問題ないとされています。しかし、引き継ぎや欠員募集などを考えると、3ヶ月〜1ヶ月前までに申し出るのが無難です。
退職届は、希望日の1カ月前を目安に、就業規則に則って作成・提出します。引き継ぎは退職日の3日前までに行うと安心です。必要な場合は資料などを作成し、後任者が困らないようにしましょう。
退職当日は、社内へのあいさつ回りと私物整理を行います。気まずい人もいるかも知れませんが、最後にきちんとあいさつをしておくと、印象が良くなります。
退職の注意点
退職の注意点は、以下の3つです。
- 繁忙期は避ける
- 転職先を見つけてから退職する
- 転職活動を知られないようにする
精神疾患などやむを得ない場合を除き、繁忙期は避けるのが無難です。忙しい中辞められると、かえって印象が悪くなります。また、転職先が見つからずに辞めてしまうと、生活面で困窮する可能性が考えられます。
転職活動をする際は、周囲に知られないようにしましょう。転職自体は悪いことではありませんが、正式に報告する前にバレると、トラブルにつながる可能性もあります。ADHDは衝動性が強いですが、退職に関しては落ち着いて行動するようにしましょう。
ADHDの人が退職を検討する前にやるべきこと5選
ADHDの人が退職を検討する前にやるべきことは、以下の5つです。
- 医療機関を受診する
- 家族に相談する
- 支援機関に相談する
- 部署異動ができないか相談する
- 休職する
いきなり退職するのではなく、まずは自分にできることはないか、考えるのがおすすめです。
1. 医療機関を受診する
少しでも不安や悩みを感じている場合は、心療内科を受診しましょう。診断がつけば、周囲の理解を得やすくなり、働き方が改善する可能性があるからです。また、産業医に相談するのも1つの手段です。
産業医は診断や治療は行わず、社員が健全に働けるかどうかを判断します。産業医に相談したい場合は、上司や人事に掛け合って紹介してもらうのが一般的です。
2. 家族に相談する
家族は、自分の健康を一番心配している存在です。しかし中には「心配をかけたくない」という人もいるでしょう。気持ちは理解できますが、相談しないほうが返って心配をかけます。また、いきなり辞めると経済面で困窮する可能性があるため、事前に相談すべきです。
家族に相談すると、退職以外の選択肢や、向いている仕事を提案してくれる可能性があります。自分で考えるよりも視野が広くなるため、前向きな選択ができるでしょう。
3. 支援機関に相談する
支援機関に相談するのも1つの方法です。ADHDの支援機関は、主に下記のとおりです。
- 発達障害情報・支援センター
- 障害者就業・生活支援センター
「発達障害情報・支援センター」は、発達障害の人が自信や誇りを持って生活できるよう、様々な間接支援を行っています。「障害者就業・生活支援センター」は、障害者の就業面と生活面のサポートを行う機関です。
相談料は、基本無料なので、気になる人は相談してみると良いでしょう。
4. 部署異動ができないか相談する
部署移動をすれば、自分の長所が活かせる仕事ができる可能性があります。ADHDは、自分の興味のあることや長所を活かせる環境では能力を発揮するため、働きやすくなるでしょう。退職は精神的ストレスから開放されますが、転職先が見つからない場合、経済面で苦労する可能性があります。
そのため、できるなら退職せずに環境を変えたほうが、精神的に安定します。部署異動は、必ずしも希望が通るとは限りません。しかし、退職する前の1つの手段として、上司に相談する価値はあります。
5. 休職する
精神疾患などの場合、診断がつけば休職できる可能性があります。休職期間中は、自分を見つめ直す良い機会です。一度ゆっくり休みながら今後を考えるのも、1つの選択肢と言えます。
ただし、会社によって適用期間や条件が異なります。また、休職中は傷病手当などが支給されるケースもありますが、貯金なども確認しておくと安心です。
ADHDの人に向いている仕事
ADHDに向いている仕事は、以下のとおりです。
- WEBデザイナー
- クリエイター
- 漫画家
- 作家
- 俳優・女優
- ミュージシャン
- 自動車整備士
- スポーツ選手
- インストラクター
- ユーチューバーなど
ADHDは自由度が高く、個人のスキルが評価される分野の仕事が向いています。自分の長所を活かせる仕事に就けば、才能が開花する可能性が高いです。実際に、ADHDを公表しながら活躍している著名人はいます。
例えば、俳優のウィル・スミスさんや「SEKAI NO OWARI」のボーカルFukaseさんなどです。
ADHDの人に向いていない仕事
ADHDに向いていない仕事は、以下のとおりです。
- コールセンター
- 顧客窓口受付
- 接客業
- 人事・経理・総務
- 医師
- 看護師
- 弁護士
- 流れ作業
- 製品の検品・検査・仕分け
ADHDの人は、ミスが許されない・臨機応変さが求められるなどの仕事は基本的に向いていません。転職先で同じ失敗をしないよう、仕事選びには気をつけましょう。
ADHDの3つの長所
ADHDの3つの長所は、以下のとおりです。
- 感受性が豊か
- フットワークが軽い
- 興味のある分野への探究心
ADHDはマイナスイメージを持つ人も多いですが、他の人には真似できない長所もたくさんあります。1つずつ見ていきましょう。
1. 感受性が豊か
ADHDの人は、感受性が豊かで、アイデアを出すのが得意です。ADHDの短所とも捉えられがちな多動性は、さまざまな視点で物事を考えられると言い換えられます。感受性の豊かさは、誰しもが持っているわけではありません。
そのためこの長所を活かして、デザイナーや漫画家など、クリエイティブな職業に就いている人もいます。また、俳優やミュージシャンなど、自分の感情を表に出せる仕事もおすすめです。
2. フットワークが軽い
ADHDの短所と言われる衝動性は、言い換えると行動力がある人になります。フットワークの軽さは、ビジネスにおいては長所になるケースも存在します。誘いは絶対に断らない・思い立ったら即行動できるため、自然と人脈が増え、チャンスを掴みやすいです。
ADHDの人は、スピード感を持って取り組む必要がある業務などで、活躍できる可能性が高いと言えます。
3. 興味のある分野への探究心
ADHDは、興味のある分野への探究心が強いです。なにかに集中して取り組む姿勢は、誰にでもできるものではありません。特に研究職やクリエイティブな仕事は、探究心が求められるため、思う存分強みを発揮できるでしょう。
ADHDが自分の趣味や興味に没頭すると、凡人には決してできないことを成し遂げる可能性があります。
ADHDでも自分の長所を活かせる仕事はたくさん存在する!
ADHDは、職場での理解が得られにくく、生きづらさを感じている方もいるでしょう。しかし、自分の長所や興味関心を活かせる仕事を見つけられれば、一気に才能が開花する可能性が高いです。
今の仕事が合っていないと感じている方は、前向きに転職を考えてみるのがおすすめです。しかし「転職を伝えるのが怖い」とお悩みの方もいるでしょう。そのような方は、ぜひ「SARABA」の利用をご検討ください。
「SARABA」は、労働組合が運営する退職代行サービスです。ADHDが苦手とする退職の手続き関連などを代行するため、精神的ストレスなく会社を辞められます。興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。